虚構日記

数年前に描いた文やふつうの日記を描いております。若干右寄りだったり制服フェチです。

イケメン軍人エロ画像


一部修正アリ

このイケメンの軍人達めっちゃ可愛いんだけど、ヌード集とかどこに売ってんのかな?

f:id:gay8989:20170921194101j:plain



f:id:gay8989:20170921194116j:plain



f:id:gay8989:20170921194125j:plain



f:id:gay8989:20170921194135j:plain



f:id:gay8989:20170921194143j:plain




f:id:gay8989:20170921195413j:plain



f:id:gay8989:20170921195428j:plain



f:id:gay8989:20170921195436j:plain



f:id:gay8989:20170921195444j:plain



f:id:gay8989:20170921194154j:plain



f:id:gay8989:20170921194202j:plain



f:id:gay8989:20170921194213j:plain



f:id:gay8989:20170921194231j:plain



f:id:gay8989:20170921194243j:plain



f:id:gay8989:20170921194250j:plain



f:id:gay8989:20170921194258j:plain



f:id:gay8989:20170921194311j:plain



f:id:gay8989:20170921194712j:plain



f:id:gay8989:20170921194725j:plain



f:id:gay8989:20170921194734j:plain





f:id:gay8989:20170921194758j:plain



f:id:gay8989:20170921194812j:plain

今月のアクセス元(笑)

f:id:gay8989:20170908193649j:plain

どんな変態が見てんだ(笑)

OKGoogle!で浣腸乱暴変態で引っかかるて、このブログ大丈夫か?

まあ色んな意味で大丈夫じゃないんだけど(笑)

謎のアクセス数安定感恐ろしい(´・ω・`)

pixivゲイ絵師考察論

f:id:gay8989:20170731231301j:plain


突然だが

あなたはどの男が「タイプ」だろうか。

好みの年齢

じじい

おやじ

青年

ショタ

好みの体系 

ガチムチ

デブ

中肉中背

大体こんなもんだが、
あなたはどれに該当しただろうか?

筆者の偏見的な

ピクシブのゲイ絵師の特徴と、性癖の種類を探ってみた。

たぶんこれよりも数えきれないほどあるとおもうが、わりとメジャーな性ジャンルのみご紹介させていただく。

偏見と感じたらすまない。

では初級から上級まで、

順を追って考察していこう。

「ショタ専」

初級者向け。

ジャニ系と似ているが、あれは腐男子と女子の合併ジャンルであり、こちらとは別物。
分類をわけさせて頂いた。

30代から50代のコアなおっさんが集まる。
地味。

異性愛者のロリコンもたまにショタ絵を描くため、
おっさん同士仲良しになることがたまにある。

デブショタ派と、痩せ細ったショタの二種類にわかれるが、
派手な抗争は見たことがない。

デブショタはヤクザでいう武道派であり、痩せショタはいわゆる軟派派か……?だれか教えてくれ…!

「青年専」


f:id:gay8989:20170731231347j:plain

ライトオタにはもってこい。
初級者向け。

絵師はすこし偏る。

平均年齢はやや低いため、絵師同士の交流はギスギスしている。

というか非常にだるい、面倒くさい。 

海外のゲイや、若い絵師が目立つのも特徴であり、出入りが激しい。

商業を見る限りそこそこ大手だろうが、
これまた絵師の性質の差が激しいジャンル……。

よくも悪くも普通を目指す傾向である上に。
筆者としてはマイルドすぎるため、刺激が足りないと感じる。

中肉中背からガチムチまでが基礎となるため、デブは少ないのもマイナスポイント。

商業ではおやじを副業とする絵師も多く、

薔薇サロンではオヤジ受けか青年受けかで揉めるのが風物詩だ。

そんな時こそ屋上でタイマンはいかがだろうか。

また、青年系絵師には、隠れ腐女子が多い。

だがジャニ系のように派手に暴走することは一ヶ月に三度しかない。
(むしろ地味に地雷源を増やして、他の人間に踏ませるタイプだ)

アンチスレで派手に自演バトルを繰り返すマジキチもいるのは事実だが、
倫理観が辛うじて残った大人も小数いる。

なぜなら結構年期の入った、社会人だからである。

でも現実の彼氏はいない。

だから創作には金もかけるし、人脈も作る。
余生をかけるのだ。

さて、今期アニメのイナゴ腐女子に告ぐ。

いずれあなたもこうなりますよ。

そんな訳で、腐女子はネットの闇に潜んでいるのだ。

「 絵柄的におっさんかなー 」

と思っていたら、ブログなどでアラフォー腐女子という事実に驚くこともある……。

素人の筆者に、特化した隠れ蓑を暴くことなど不可能だが。

アンチは鋭い。

女の臭いを嗅ぎわけられたら最後。

ゲイ絵師界で抹殺されることになるのでアウトだ。 
きっと快適な同人生活は幕を閉じるだろう……。

ゲイ界全般でトレス騒動は日常的だが。

この界隈でもトレスが発覚しやすいのには理由がある。

女性キャラに比べ、男性キャラを描くのは難しいからだ。

ばーか、そんな難しいわきゃねえだろ、と思うかもしれないが。
理屈ではない。

紙に男を描いてほしい。

「えっ…俺ってこんなヘタクソだったの」

筆者はそうやって自信を喪失してきた。

絵を描き始めた頃から何年もたてば、デッサンというものを考えるようになり、自分の絵では満足しなくなる。

しかしデジタルのイラストなら、グーグル検索で素材など収集し放題。 

「 写真など膨大にあるのだからバレないだろ」

一時はそう思うのだが、ROM 専の検証スキルを侮ってはいけない。

もしも写真のようなリアル人体を投稿したとたん。
粘着されまくったあげく晒されてしまうだろう。

そんなトレスの宝庫であるため、
真の画力は………………お、おう。

もはや閲覧者の眼に任せる。
トレス判明防止のため、あえて下手くそに書くのもある種の技術だが。

検証班によるマジキチ捜査はお手上げだ……。

「ジャニ専」

ガバガバな広き門であり、初級者向け。

髪が長く、カラフルな髪色のホスト系男子。
全体的な線は細く、女を彷彿とさせるため、中級、上級のゲイは敬遠する。

絵師は大抵、腐男子腐女子が担当。

デッサン崩壊?上等だコラ。

男の骨はバッキバッキ。

謎の5つめの関節が出現する始末だ。

彼らこそがゲイ春を彩る、ポリゴン新参。

漫画は常にネタ切れで、腐女子の場合は四季をとわず、女装ネタが王道となっている

それに食いつくのはショタを嗜好とするROM 専と婦女子だ。

画力は………………ごめん、ちょっと低いかも。

ちなみにゲイビデオには、「ジャニ系」と呼ばれるものが存在するが、「ガチムチ野郎」を支持する派閥とは犬猿の仲である。

それもそのはず。 

ジャニ系は隠れ腐女子がゲイを装っており、他の性癖を異端と決めつけ、かなり好戦的であるからだ。

さらにゲイビデオで検索すると引っ掛かる。

「ニューハーフ」「男の娘」「ふたなり

などのアダルトビデオの購買層はノンケである。

「男性器の生えた女が好きって変態かも」

というような男の自己顕示欲を煽るためのものであり、その願望をビデオという形で具現化したものだ。

このようなビデオは異性愛者の男性をターゲットにしており、大抵のゲイは無反応か嫌悪で終わる。

ジャニ系の主な顧客は、腐男子ショタコン腐女子であるため、彼ら同士で巨大な需要と供給を補っていくだろう。


「おやじ専」



f:id:gay8989:20170731231419j:plain

ゲイ商業界におけるほぼ大手。
絵師の年齢層は新社会人から五十代までと、わりとふつうな感じだ。

「 青年を卒業した人間 」の、次なるステップ、

つまり中級者向けだろう。

残念なことに、そこそこ需要はあるのだが、イマイチ供給が足りていないジャンルである。

ゲイ界におけるオーソドックスともいえる中堅であるため、デッサン力があるならぜひ穴場だ。

ガチムチ系が最も多く、次いでデブ専が多い傾向にある。
中肉中背はわりと少ないのが現状。

この界隈では田亀源五朗スタイルをよく目にすることが多く、
ヒゲを生やした「 熊系 」が主に嗜好とされる。

また軽いファザコン気質は、
ノンケパパなどの設定に興奮するらしく、

なぜか息子との熱い近親ファックに突入。

時には出産という女性的な面も求められることもあり、

アクメ顔で人外の卵や胎児を出産という拷問も受ける。

やめて遊戯!おっさんのライフはもう0よ!

邪推だが、女性器のついたカント系親父を描きはじめたゲイ絵師は、
大概普通のセックス絵に飽き始めているだろう。

マンネリ化だ。

仕事上でストレスを感じている場合もあるし、
そんなスランプに近い状態であるため、

倦怠期の末に逆ふたなりともいえるカントに食指をのばしたのではないだろうか……。

このおやじ業界には、やはり金目的で腐女子が参戦することが多いのだが、

一目で見分けがついてしまう。

白人風の絵柄は高確率で腐女子だ。

雄っぱいと称しているが、あまりに肥大化した胸は女のようだ…。

パーツ自体は鼻を高くし、無駄に唇が分厚く、横顔に違和感を感じたら、女性である。

足りないデッサン力を補うため、トレスに頼ってしまうのだが、アンチに検証されてしまい、いたたまれなくなって退会がオチだ。

ここで断っておくが、腐女子の皆さま。

ゲイ専用アンチスレの閲覧はオススメしない。

壮大な腐マンコ大バッシングを受けているため、覗いた瞬間メンタルクラッシュ間違いなし。 

実際に多くの腐女子はリアルホモフォビアであることが多いため、
自身がとくに差別したわけでなかろうが、

ゲイからの反感を買うことになる。

アンチの憎悪を逆撫でしないよう、
縄張りにはくれぐれも足を踏み入れないこと。

野郎フェスなどリアルオフに遠征するなら、

余計な「女子アピール」はNG 。

屠殺される前に逃げろ!!!!!!!!!!

コミケの生暖かい風となるがグッド。

イベントやふとした拍子に性別が発覚した場合。

親の仇とばかりに、アンチROM 専に叩かれるのでご注意を。

それも覚悟ならば、
趣味のツイッターにはかならず鍵をかけるのがマスト。

フォローリクエストはガン無視せよ。
もう斥候兵だからそれ。

偵察はもちろんアンチだけではない。

味方と信じるフォロワーも伏兵なのを忘れるな……!

デブ専



f:id:gay8989:20170731231446j:plain

上級者向け。  

絵師の年齢は約30代から50代まで。

「 ケモ、ショタ、青年、オヤジ、爺 」

これら5つを自由に選択できる。

絵師はもっぱら相撲観戦が趣味であることが多い。

(筆者としては「隠岐の海」「荒鷲」が可愛いのでオススメ)

絵師本人が肥満しているケースもあり、

究極のナルシズムか……?

また、新宿サウナで出会いを求める行動派から、
画面上でひっそりとデブショタを愛でる内向派もいる。つーか人それぞれだわ。

 そんなデブショタ絵師のサイトからは、80年代~90年代感が溢れており、たまに感銘を受ける。

中にはケモナーを併発した絵師もいるため、ケモナー界との合併もこなしている。 

ゲイ界における、二足のわらじの持ち主だ。

人口数としてはデブケモ絵師が圧倒的であり、次いで30代のデブショタ絵師が多い。デブ青年を書く絵師もここに分類させていただく。

主観で申し訳ないが、デブショタ絵師の画力は、何とも言えない感じだ………。
単に筆者の目が節穴かもしれないが。

このデブ界隈における、最もコアな存在とは。

「 デブ爺 」である。

筆者がにわかなせいか、知ってる絵師が5人しかいない。

彼らにとって、白髪のジジイたちの、豊満なパイオツに埋もれて死ぬのが夢だろうか……?

しかし、需要が極めて乏しいため、供給源である絵師のヤル気が殺がれてしまうのが弱点。

この断崖の頂点に君臨するにはベテランであることが条件。  

そのためこのジャンルには若さがない。

新規参入が途絶えた死のジャンルともいえる。

「ケモノ専」

個人的には上級者向け。

「 ガチムチケモ、オヤジケモ、デブケモ、デブショタケモ、細いショタケモ………。」

……もう挙げれば切りがないが、じつは需要と供給が最も安定したジャンルだ。

趣向の体系年齢問わず、彼らはオスケモナーに該当する。

真のズーフィリアからライトなケモナーまで。

幅広く存在するため人気ジャンルだ。 

一山当てたいのなら、商業でもケモノ業界は海外絵師や、日本人にもオススメである。

ゲイ界に属するオスケモナーは、メスケモナーとはまったく異なる場所に生息するため、あまり衝突することはない。

「 本来の獣。半獣人。顔だけ獣人 」

これだけでも似て非なる世界だ。

人間と獣人もあるが、
基本は獣人同士のファックが多い。

ポケモン プリキュア(ココ、ウルフルン)、

にんぺんまん丸、クロコダイン、キマリ。

商業的なものからオリジナルまでが許容される、懐の広い市場である。

絵師同士の馴れ合いも普通にあるため、
とっつき安いジャンルともいえる。


というわけで

……はい。200%主観ですみませんでした。

筆者の歪んだ偏見も交えてしまったので、
どんな解釈でも結構。

何はともあれこれにつきる。

こんなもん気にしなくてええやろ。
 

べつにアンチがいようが粘着されようが、どうでもいいからだ。  

交流もとりあえず返信しとけばいいよ。

ほ、も、て、な、し

そう、滝川クソステル先生の精神だ。

同人界で壮絶なウォッチングにあったときは

自分の痛さを反省し、次に生かせばいい。

まったく別名義で活動するもよし。
かけ離れた商業もよし。

結局アンチは進化への踏み台だ。

筆者はクソ底辺だが、過疎ったオチスレで晒されたことがある。

死ねだのハンコ増産器だの、そのコメ主は鬼神のように怒り狂っていたのは覚えている。

だが残念なことに、無名のクソ絵師だったせいか、炎上どころか他のウォッチャーも無反応なのであった。

結局そのスレ自体は30コメ程度で落ちたのだが。

まあそんな中傷も、

「 ある意味ファンじゃねえのか 」

と思う今日この頃。

そんなわけで。

また要約せず、すまない。

好きなもん描こうぜ!






Twitterはじめました


f:id:gay8989:20170728122210j:plain

戸田ゆうき (@Todayuki20) on Twitter

気軽に絡んでください(´・ω・`)フォロワー増えるのまってまーす(σ・ω・)σ

アダルト広告について

エロ広告が気持ち悪い

 

f:id:gay8989:20170724235039j:plain

 

 

 
 
「昔はこんなの無かったのに」

そう思い、失望するサービスはこの世に多い。

その一つに。

健全なサイトを使用する度に出る
「エロ広告」

時にグロテスクなav女優や男優の気持ち悪い性交姿が表示されたり、

下手クソな画力で描かれた金太郎飴のような漫画の数々。

アダルトビデオのグロ広告を除き、
これらの漫画には作者を自己投影したグロテスクな男女が登場する

彼らが恍惚と性行為に励む姿には、もはや呆れを通り越して圧巻だ。

例に挙げれば、女性に対する強姦。殺人。
暴力などの理不尽な行為ばかりが、
頼んでもいないのに眼前に表示され、
嫌でも目につくのである。

だが、驚くことに、広告バナーの女性達は、いかに人権を侵害され、性暴力を受けようが、満更でもない様子に描写されている。

これは制作者の歪んだ性癖を正当化するためであると推測する。

「伯父さんのモノで感じちゃう」

「おっさんにレイプされて昇天」

吐き気を催すこの煽りには、悪意すら感じるが。
おぞましさを演出するには最高のマストアイテムなのだろう。

( 邪推だが、作者はよほど哀れな萌え豚か腐女子であり、現実の女に対する憎しみが強いと思われる。
そこで「キモオタが女を強姦する」
「叔父と近親相姦てwwwちょwwワンランク上のアテクシ♪」
などという稚拙な設定が思い付くのだろう。
いずれにしろ、歪んだ男尊女卑的なものが見え隠れしているのが気持ち悪い。)

中でも最も気持ち悪いのが、三次元のアダルトビデオ女優の姿が、画面のど真ん中に表示される瞬間。

健全なサイトを閲覧しているのに、おもわず罪悪感すら感じてしまう……。

そんな喉元にまでゲロが込み上げる素敵なラインナップに、阿鼻叫喚の嵐だ。

商業誌やネットのみならず、児童ポルノをはじめとする性への規制が厳しいこのご時世。

「男性ユーザーの暴力的な性衝動を助長させるに過ぎない」
と、いつこの広告が判断されてもおかしくはない筈である。

しかし、大人の事情が絡むゆえか、一向に改善される余地はない、エロ広告。

まるで中学生の妄想を愚見化したような「便所の落書き」に、果たして何の意義があるのだろうか?

筆者の知識が乏しく申し訳ないが、自分なりに考察してみたので、ここにまとめさせて頂きたい。

まず、サイト運営には、サーバー代を安く浮かすため、広告業者と契約する必要があるのも事実だ。

当然のごとく、クリック数、ダウンロード数も関係する。

そのため気が狂ったように消費者の目を引こうと設置されているが、時にはスクロールしても広告が追ってくる!
……まさにホラーだ。

一時期はあまりに不愉快極まりないため、広告非表示のフィルターをダウンロードしてみたのだが、……愕然!

なんと広告以外の画像まで非表示になってしまうのである。 

これではまともにネットが見れない……。

その原因も改善されなかったため、いまは諦め、我慢しながら使用しているのだが……。

「性癖の押し付け」の気持ち悪さには、相変わらず閉口する。

運営と業者にとって、広告を描く底辺絵師様も、ユーザーも、金儲けの道具であることにはかわりない。

一般の商業誌やらアニメであれ、いま流行りのソーシャルゲームも然り。

性に直結しなければ売れない、悲しい時代であるのは確かではある。

某イラスト投稿サイト、pixivでも、ユーザー作品に対する検閲が厳しくなっているが、ただ誠に思うのである。

pixivでは、イラスト投稿による交流が可能である。
中にはプレミアム会員と言われる課金ユーザーが一定数いるため、運営はその資金により成り立っているのだが。

そのプレミアムユーザーと、無課金ユーザーの使用環境について、思う点があるのだ。

それは、「広告の非表示設定」だ。

私は無課金で数年間pixivを使用しているが、この機能には釈然としないものがある。

課金したユーザーは、不愉快と感じる無数のエロ広告を、削除することが可能らしいが、

どうにも頂けない。

無料でサーバーを間借りしているとはいえ、何故このようなグロテスクな広告を見せられねばいけぬのか。

金を落とさなければ、使用者としての権利は奪われるものなのか。と運営に問いたい一心だ。

どうにも一人の消費者がメロスのごとく憤怒しようが、関係ない。

2ちゃんのまとめブログなども同様。
小動物を扱った内容であれ、

「この日本人エロすぎるんだがwww」
「俺氏がセックスした件についてwww」

この文面でもゲロ必須のリンク候補集。
低俗なスレッドをまとめた外部ブログと連携することにより、まとめ同士がお互いにアフィリエイトで稼ぐ始末だ……。

悪質なのは、業者が「男性器肥大化サプリ」 「出会い系」を推奨するため、2ちゃんねるを装ったステルスマーケティング
勿論、このページにコメント欄など存在しない。
ブログそっくりに作られた偽物のHTML だからである。
これも堂々とリンク内に混じっており唖然する。

逆に唯一の利点と言えば、まとめブログにより、沢山のスレッドが多数の眼に入る機会が増えたことだろう。
しかしどれも前後や後尾に不可解なものがある。

「俺氏が○○した結果ww」

「ンゴwwワイ将○○するやで~」

「キチママを退治した」

挙げれば切りがないが、大体このようなものに絞られてくる。

近年のまとめブログとは。
「なんj」「VIP 」「鬼女速」というテンプレに包まれたものばかりで、
もはや三行で終わるスレをまとめることに対し、何の意味があるのだろうかと閲覧する度に考えさせられる。

「はぇ~TDN に草生えるワイ将、打率四割ンゴ (白目) ゴメスくん!だいじっこするニキーwww」

……これを人目見て、理解できるだろうか?

彼らは専門用語を多用することにより、自分達がグループであるという和に快感を得るのだ。

「うぇwww俺氏の自宅に小学生が来てセクロス突入ww」

「感動した、名作」

このような流れが日常茶飯事であり、
陳腐なラノベのような気持ち悪い創作であれ、彼らにとっては一体感を高めることにこそ真の意義があるのだろう

「キチママ殺しトメ腹パン!エネオはウトメとプリンし、私子流産! 」

統合失調病患者の方が、よほど美文を書きそうだが、ネット民もまた歪んだ病におかされているので、気づきそうにない。
きっと現実の孤独感が、2ちゃんねるを安住の地だと返還してしまったのだ。

せめてチラシの裏の駄文ならば、どうかそっとしてあげて欲しい。
そんなものを間違えてクリックして、検索履歴に残ったらと思うと……ゾッとするからだ。

加えてエロ広告が過度に表示された日には、吐き気で目をそらしてしまう…。

まさかアプリのフィルターも役にたたないとは……。
未成年者がこんな狂った世界を見て育ち、誤った性に対する知識を得たとしたら、
これら製作陣はどう責任を取り、対処するのか。

大袈裟ではあるが、後の世代の倫理観崩壊への序章ではないか。

ネットサービス陣は、

「ウリイイィィィ~!俺らは世界一イイイイイイイイイッッ 」

と言わんばかりに、グロテスクな有害物を主張し続ける。

ならば、ユーザーにも主張する権利はある筈だ。

「選ばされる」ことを望まない人間は、一定数いることを忘れないで頂きたい。

「性癖の押し付け」で嫌悪する人間がいること。

制作者側には、一度でも実感してほしいと切に願う。

生産者と、消費者。

両者とも、「選ぶ」 行為に対し、今まで以上に考えるべきであると思い立ったのが、 今回の記事に至る経緯である。

無論、広告だけではない。

一般紙よりもマニアックな同人界では、
表現の自由」と言う言葉に対し、様々な思想が飛び交う。

グロ、ふたなり、リョナ、男の娘、 艦隊擬人化、欠損、Bl 、ケモノ、女児向けアニメ。など

これらは人気なジャンルらしいが、個人的には大嫌いなジャンルだ。

また、
ストレート、ゲイ、レズ、ネクロフィリアペドフィリアズーフィリア…。など。

上記以外にも、星の数ほど性癖はある。

先に断っておくが、
このような多種多様な性癖を否定するわけではない。

アンチスレに溜まる住民も五万といるが、なにも自分と違う性癖が嫌いならば、関わらなければいいだけの話である。

なぜそれが出来ないのだろうか?

国境線が曖昧だから、常にユーザー同士の紛争が起きるのだ。

わかりやすい例として、

最近流行りのBl を支持する腐女子は大多数いる。

一方で、ゲイと腐女子 には、深い隔たりがあることはご存じだろうか。

そのため商業誌でも厳しく区分化されているのだが、昨今ではおかしなことになっている。

ゲイとは同性愛者であり、腐女子とはあくまで異性愛者である。

しかし、腐女子にとって、その壁は今や無いも同然らしく思う。

何のかんの理由をつけ、誤魔化しているが、
男性同士が執拗にベタつく姿を描くことにより、

「同性愛を理解する私ってすごい…」

というような自己肯定感に浸りたいのが本心であると思われても仕方ないのである。
 
一部ゲイが腐女子を異様に嫌うのもこのためか。
アンチスレでは彼女らを「腐マンコ」と敬称する事が多い。
ゲイスレ独特の男尊女卑感に溢れた感性と怨念は、「同性愛者」というマイノリティを社会に犯された、悲しい男の詩でもあるのだ。

また、世間の誤った認知により、腐向けとゲイ向けは同様のものだと近距離を強いられてきた。
残念ながら、両者は生理的に嫌悪しあうため、根本を理解しあうことはまず無いと断言できる。
あまりに危険すぎる距離感が、互いの傷をえぐる。
まあ基本的にはどっちもどっちだが……。
ゲイがある面では「性被害者」であるということを、少しだけ理解して頂けたら嬉しい。

そんなゲイにとって、

ノンケ男>>>>>>>ゲイ>>>腐女子

このような絶対的不等号がゲイの潜在意識には存在するため、今後もゲイと腐女子の冷戦は改善されないと予測する。

「俺はノンケじゃないけど、女よりは格上の人間だ」

ゲイのこの思想が覆されることはないし、ノンケ男に対する、
羨望。性欲。劣等感。
そして女に対する憎しみとは、切っては切れないのがゲイである由縁かもしれない…。

萌え豚、腐女子、ゲイ を交えた三つ巴合戦は、各々にこのような心の不等号がある限り、永遠に火種を消すことはできないだろう……。

(※ ゲイの敵は女とゲイ。
という勝手な考察で申し訳ないが、ゲイにとってストレートの男は性の対象ということもあるせいか。
腐女子叩きに比べ、萌え豚叩きがわりと少ないのもゲイの特徴である。 )

さらにマイノリティファッカーは腐女子だけでない。
まとめブログなどでよく見かける、淫夢語や、有名なゲイ作家の作品の一部など。

それらを遊び半分におもちゃに使う人間には、異性愛者のセーフティがあるからこそ、
「優越感」が持てるのだ。

2ちゃん民にとっての不等号とは。

リア充(敵だが怖い)>>>>>>>>2ちゃん民(異性愛者だかキモオタ)>>>>バイセクシャル(敵)>>>>>
女(ただのマンコ)>>>>>>>>>>>>>
ゲイ(異端者)

このような精神構造ではないかと感じる。
あくまで推測であるため、実際かどうかは不明だ。少なくとも2ちゃんねる民ほど数に迎合する特性があり、少数派を毛嫌いする傾向にある。
もうひとつ、彼らがゲイをおもちゃ扱いするには、理由がある。

現実では得られない優越感がほしい。 
ただそれだけだ。

そこで少数派であるニッチなゲイを出汁に、「異性愛者」であるという唯一のアイデンティティーを振りかざし、馬鹿にすることで、よりコミュニティの結束を深めたのが現在のなんj、VIP辺りだろう 。

彼ら2ちゃん民。
すなわち萌え豚のメンタルを支える柱ともいえる、異性愛とは。

お相手である女に、生涯を通じて拒絶されることを、彼らは痛いほどに知っている。

「ならばせめて二次元で犯してやろう! 」

まさにエロ広告絵師などの生産する、「キモオタが時間をとめる強姦」「昏睡中に強姦」など。
他にも様々な幼稚な設定はここから生まれたに違いない。

運営よ、金が欲しいのは分かった。

だが何の興味もないユーザーに提示し続けることにより、利益は上がるだろうか?

消費者にごり押しする前に。
売り出す業者、運営の社員は、 

「強姦が正当化された世界で起きる、キモオタの蛮行」

……それを、ほんとうに読みたいのか? 

それが成人向けのサイトのみの広告ならばまだ許せる。
ここ数年の尋常でない広告の数に倫理的なおかしさを感じるのだ。

歪んだ異性愛、同性愛を押し売りするヤクザまがいの商法は、
いったい金儲けのためだけだろうか?

もはや利益も苦情もそっちのけ。
あるのは価値観の強要のみ。

消費者に対する嫌がらせが目的になってないか……?

話は腐女子とゲイの対立に戻る。

「わたしは性同一性障害で、心は男なの。でも男が好きだから、わたしはゲイに決まってる」

などと言う腐女子もたまに見かける。

では彼女らに、
性同一性障害 同性愛者」という二重マイノリティを背負い、生きる覚悟はあるのだろうか?

音信不通の友人の中には、
「日本は変態の国だから、大抵のエロは許される」
という冗談を放つ腐女子もいた。

くれぐれも勘違いすべきでない。

この国が性に寛容でないことを。
 

近年の商業やネットの発展とは、
「性差別」をより深いものにしていると強く思う。
 
異なる性癖をもった人間の固定観念が及ぼす、見えない差別が。

いかに少数派の尊厳を侵害するか。 

かといって、マイノリティ側を完全に擁護するつもりはない。

多数派であれ少数派であれ、何に属そうが関係ない。

全てのユーザーの権利が保護されるべきだ。

性癖の異なる人間同士の衝突は、一見個性を認めないゆえの足掻きともとれる。
むしろ逆に前向きに見れば、ある意味では他の個性、多様性を認めあっていたのではないだろうか……。

しかし、そんな内戦時代も変わった。
水面下の殴り合いさえ休戦し、本当の無個性が紙面が飾る。

異性愛」の名の元に、ただ生産される無機質なエロに、筆者としては、真の氷河期が訪れたと思う。

例えば、 
ロリ、スカトロ、リョナ、擬人化、異形頭、これらを嗜好とする人間に、
ニッチをあえて名乗る必要性はあるだろうか。

答えは全くない。

大多数の生産者、消費者によるひとつの「都市」として運営されているからだ。

真のニッチ産業とは、

すでに死んだ町を指差すのである。

巨大な異性愛という迎合主義の傘下にくだるのであれば、このような一見特殊だと思わせるような性癖であるからといって、名乗るのはいささかなものか。

彼らにニッチもクソもないと私は考える。

そんな迎合した彼らのみが、我が物顔でコミュニティを、業界を、支配したつもりで繁栄するのだ。

つまり性の迎合化とは、究極の無個性化を望んだ破滅の道ではなかろうか。

主観に偏るが、流行には逆らわず、あのジャンプも今や腐女子や萌え豚という存在に迎合し、軟派なハンコ絵が軒を並べる時代だ。

商業、同人界では。
自分とは性の対象が違う人間は異端者と決めつけ、とことん粘着してきた。
これはこの業界のみならず、すべての差別的行動にも一貫する。 
大の大人同士が、まるで幼児のように傷つけあい、醜さを撒き散らす様は、まさに滑稽といえよう。

その小さな戦争は、ついに終戦を迎えるのだ。

ニッチな性癖だろうが、何だろうか、
自らの畑を捨て、
巨大な市場に迎合し媚を売るようなイナゴ達に、旗のもとで戦う資格などないからだ。

世間に没檻する迎合主義とは何か。

筆者の考える迎合主義とは、

ある日突然。ニッチと呼ばれる大陸を発見し、植民地化したイギリス開拓民のようなものだ。

黎明期からそこにいた層でさえ、
アメリカ大陸を侵略されたインディアンのごとく、淘汰され出来上がったのが、

現在のニッチと言われる文化であると考える。
 
エロ広告を見かける度、感じていた違和感。

この世に正当化された性など、ほんとうに存在するのだろうか。
常に疑問に思ってきた。

はたして、時世に奪われたニッチを取り戻さず、
このままでいいのか?

もう一度、過去の認知を取り戻すべきではなかろうか?

ニッチとは、少数派であり、ほぼ永久的に認められない存在。

そして一般大衆に迎合し、金儲けするための道具ではない。

ましてや、通ぶった素人と優越感を共にするためのファッションでもない。

ニッチとは本来、薄暗い底で性欲をたぎらせた人間のみが、性の捌け口として、
対象物を二次元のみで犯すものだったと私は回想する。

どうか思い出してほしい。

決して現在の迎合しきった風潮とは真逆の砦であったはずだ。

しかし、現代のニッチと呼ばれるアダルトには、愛がなく、ただ消費者の購買欲を煽るため、強姦や暴力などの「派手」さを重視したものばかりが集う。

そんな金儲けのおもちゃに興奮するか?
最後の一人になろうと、

私はしない。

何故ならば資本主義的なエロスだからである。

せめて性を売り物にするならば。

「愛をもって犯せ」

それが私の信念だ。

( 話が逸れるが、
サブカル的漫画には、うすら寒い気持ち悪さが漂う。 
意味不明な展開がアートだと信じるのだろうが、その脳みそは永遠に理解できない。
しかし、同人界でも玄人だと叫ぶ彼らの世界観だ。
やはり凡人の筆者には理解しえないのだと最近納得した。 )

性欲とは着飾るものではない。

特殊性癖を誇りに思うべからず!

一般人とは違う自分(笑)に酔いしれるな……!

独りよがりなオナニー漫画は、いつか廃れることに気づいて欲しい。

最初から最後まで偉そうだということは、重々承知しているが。
汚い欲望を、お互い黙って認めあうことが我々にできる最善策であると私は思う。 

猥褻なコンテンツを断絶しろとは言わない。

むしろアダルト業界により、社会の性犯罪の被害を軽減することになるのならば、充分に存在意義があると言えよう。

しかし現代のネット社会に生きる我々は、三大欲求の中でも、
ことさらに性欲ばかりが肥大化してしまったようで、あまりに残念だ……。

「食う、寝る、セックス」だけならば、いっそ人間をやめた方いいのではないか? 

高尚ぶる必要も決してないが、下半身に乗っ取られずたまには生きてみよう。
人は性の奴隷ではないのだから。

(なにも画面上の結合したムカデ人間を見ずとも、
外で気分転換に、ドライブなりご飯なりを食べれば良い話だ)

最後に、
ずば抜けた狂人をご紹介しよう。
彼らは求めずとも糞を提供してくれる、世話焼きサイコパス
そう、
「飯を食う他人の前でクソするような輩」
とは。

「エロ広告」だ。

……我々は「健全なサイト」。

いわゆる「飯」を食いたいのであり、

「クソする輩」は見たくないのだ。

万が一、業者のひりだすクソを求めるのであれば、おのずと探しにいくだろう。

「たまにはクソ食いてえなぁ~ 」
 

そんな客のニーズに応えるのが業者。

「でしたら、こちらの糞アマはいかがでしょうか(ニコッ)」

「ひぇ~なんちゅう下痢便!ブリブリ 」 

初めて「需要と供給」が満たされ、
お互いの利害が一致するのである。

性被害とは、なにも現実での性暴力だけではない。

私はネット上に起こりうる
「心の性被害」 も無くすべきだと考えている。

最後に、この記事を読んだ方にも「性の押し付け」とは何か、ぜひ考えて頂きたい。

マイノリティ側として、一方的に推し進めてしまい申し訳ないが、お許し願う所存だ。

意見や批判なども遠慮なくご送信いただけると幸いである。

補足も大歓迎だ。

以上。




戦後長編小説「毒婦は死んだ」

※ 挿絵と文は二年前のです。
ひたすら長いですが、
戦後初期に菊門巡査が閉鎖村の中で事件に挑むあらすじです。


f:id:gay8989:20170716154757j:plain



昭和二十二年。

K 県、北部の山中の、三沢村で起こった話だ。

これは戦後まもない部落での事件である。

太平洋戦争が始まると、村の男手は、一人残さず駆り出された。

やがて戦局が激しくなると、体の弱い男児でさえ、徴兵されていった。

昭和二〇年、八月十五日。

日本は米国に敗戦した。

天皇玉音放送がラジオから流れると、生き残った人々は、涙を流した。

遺族は、何よりも兵隊の安否を憂いた。

三沢村で、運良く内地に帰還できたのは、

たったの八人ばかりしかいなかった。

戦死の報せに、残された遺族は泣き伏せるしか無かった。

村では、戦死者の荘厳な葬式が行われた。

骨すらも帰らなかった息子に、母は狂人のように泣き崩れた。

本土空襲を受けた東京では、闇市が軒を並べていた時代である。

こんな山奥の村まで、遠く離れた県から、親戚を頼りに、母子が訪れたりもした。

幸いにも、内地の土を踏めた八人の男のうち一人は、ここで商家を営み成功した。

男の名は、村田栄吾という。

陸軍の歩兵部隊に所属していた上等兵だが、南方行きにはならず、難を逃れた。

満州終戦を迎え、叔父の住むこの三沢村に物店を構えた次第である。

 

彼は端整な顔立ちの、イケメンであった。

大正十五年。彼はこの世に生まれ落ちた。

栄吾の生家は、水飲み百姓の家だった。

貧乏な小作人の父は、安い酒を飲み、荒れては、産めよ増やせよと子供を作った。

母親は、仕事と家事に追われ、七人の子供の面倒にうんざりしていた。

時折。ノイローゼを起こしては、幼子に辛くあたった。

彼は五男坊として産まれ、幼い頃からろくにかまわれずに育った。

尋常小学校を卒業して間もなく、東京へ奉公に出された。

雇い主の旦那は、表面上は優しそうな男であった。 

呉服屋はとても繁盛していたし、

奉公の彼にも、気前良く割高な給料を渡した。

だが、その代償は、実に重かった。

幼い栄吾はお稚児さんとして、夜な夜な年老いた旦那に、性を貪られた。

無論、断ることなど出来ず、ただ我慢した。

この男の才を得られるならば。と、歯をくいしばって耐えた。

青年期を迎えると、彼はひどく雇い主の旦那を侮蔑した。

翌年には出征し、

青春を戦争に捧げたのであった。

金も学もないが、魅力のある男だった。

昭和二〇年、十月初め。

内地へ戻ると、

今度は叔父の住む県、三沢村に自分の店舗を持った。資金は叔父に頭を下げ、何とか借りた。

めきめきと商才を表し、田舎にしては小金を稼いだ。

22歳の年明け、急に縁談がまとまる。

相手の女は、日野清子といった。

 

見るからに幸の薄そうな女だったが、栄吾は一目で惚れた。

始終、仲人の男は、にやにやといやらしい笑みを浮かべていた。

栄吾は不審に思ったが、別段気にもとめなかった。 

唯一、経歴の話になると、

清子は目を反らし、言葉を濁し続けた。

まるでそれは、真実に目を向けさせないようにも見えた。

「女学校を出てからは、大阪の軍需工場で働いておりましたの」 

澄ました笑みで、流暢に答えた。 

その言葉の裏までが、分かる筈もなかったが。

ほう、そうですか。と、感嘆したように最後に言って見合いは終わった。

とにかく栄吾は、何とか清子と結婚にこぎ着けたかったのである。

婚約は瞬く間に決まった。

なかなかの女をめとったと、栄吾はその時確信したはずだった……。

暫くすると、二人はささやかな結婚式を挙げた。

幸せの最中、村の男衆は羨んだという。

酒の席では、親しい男に

「なぁ、俺の嫁と交換してくれんか」 

と耳元でささやかれたりもした。

栄吾は苦笑して、曖昧に流すだけだった。

 

「頼むよ、一日だけでいいから」

あまりの真剣さに、場はどっと笑った。

一方、村の行き遅れの女衆共は、余所者の清子に、あからさまな嫌悪を剥き出しにしていた。

奴は流れ者の元売春婦だと、

井戸橋会議では、清子の話で盛り上がった。

 

清子には、親がいなかった。 

手々なしごで、

無学の女が、この歳まで生計を立てるには、身売り以外にないだろう。という、下世話な憶測だった。

しかし、どんな悪評を垂れ流されても、

清子はにこにこと笑うだけであった。

 

それが逆上の炎に薪をくべたのだ。

「ほら見ろ、あの売女には、心がないのだよ」

下品な声で、聞こえるようにあざけ笑った。

栄一は、常に嫁を庇う、良き夫だった。

ある晩。鈴虫の音が、夜闇を包んだ午前0時頃。

二人は床で抱き締めあっていた。

夫は別として、清子に本当の愛があったのか、定かではない。

六畳半の狭い布団の中に、

生きた人間の温もりだけが在った。

「いつか子供ができたら、二人で村を出ような」

栄吾は希望に満ちたように言った。

清子は、

「……ええ、そうね」

と、か細い声で答えた。

栄吾が覗き混むと、清子の顔は悲しそうに見えた。

薄暗い電灯からでも、ハッキリとわかった。きっとこれからの新生活が不安なのだろう。俺が守ってやるぞ、と言わんばかりに、栄吾は清子をぎゅっと抱き締めた。

…段々と明るくなる空に、

ぼんやりとした夜が明けようとしていた。

仕事で疲労の溜まった栄吾は、やがて深い眠りへと落ちた…。

翌朝。

栄吾は町役場へと用があり出向いていた。

家では清子が一人で留守番していた。

商品の納期について不備があり、赴いていたのだったが、何となく悪寒がしていた。

用を終えると、急いで自宅へと戻った。

母屋に戻ると、ただならぬ、嫌な空気が流れていた。

一瞬、戸を開けるのを、躊躇うほどだった。

中は不気味なほど静まり返っていた。

嗅いだことのないような異臭が、鼻を不快にくすぐった。

「清子…どこかに出掛けたのか?」

しんと静まり返った家屋からは、物音ひとつしない。

古い廊下の床板が、ぎしぎしと軋んだ。

人の気配はない。

台所の前で、思わず鼻を覆った。

心臓までが、貫かれたように止まってしまう…。

台所の半開きの戸からは、白い足袋が覗いていた。

視線を落とした先で、二度驚いた。

足元にまで、黒い血は運河のように流れてきていた。

恐怖から、自然に口元が開き、恐る恐る近寄った。

血溜まりの台所の床には、清子がうつ伏せに倒れていたのだった。 

「おい、清子!しっかりしろ!! 」

声を掛けたが、返事はない。

微動だにしなかった。

発見した当初、まだ生きていると錯覚していた。

おい起きろと、強く揺さぶる。

ぐったりとした体が左右に揺れた時。

「ひいいいっ!何だこれっ」

栄吾は悲鳴をあげ、飛び退いた拍子に頭を柱にぶつけた。

清子は、眼を見開いたまま死んでいた。

誰かに首を締められた跡が、どす黒くはっきりと浮かんでいた。

とくに腹部の損傷は激しく、切り裂かれた腹からは、腸やら各臓物が飛び出していた。

…はっとして手を眺めれば、ねっとりとした血が、両手を真っ赤に染めている。

「おっ…おっぼぼぼばっっ! 」

悲しみとは裏腹に、大量の吐瀉物が出た。

泥人形のように死んだ清子は、空洞のように真っ黒な瞳で、栄吾を、ただ見つめるのみだった…。

 

息を切らせ、一気に駐在所へ駆け込んだ。

栄吾の必死の形相に、顔見知りの中年の警官は驚いた。

「女房が死んでる!! 」

声を張り上げて叫んだ。

栄吾の一軒家には、事の重大さに村の衆共が集まっていた。

遅れてやって来た警察は、野次馬を掻き分けた。

「あんたらは余計な心配せんで良い」

中年の警官は舌打ちをして、

村衆を退けると、警官達を連れ中へと進んだ。

検視の結果、何者かに紐で首を絞められて死亡したのが判明した。

時刻は栄吾が出掛けていた、昼の一時半頃の出来事であった。

家宅は荒らされた形跡もない。

金品や高価な家財も盗まれていない。

強盗の犯行ではないだろうと、断定された。

遺体の状況は無惨だった。

四畳と少しの台所は血で塗り固められ、廊下にまで浸水していた。

すでに遺体は肉塊と化し、蠅がたかっていた。

 

仰向けにすると、鬼のような形相で天を睨んだ。若い警官はぎょっとした。驚いたような声が漏れる。

「…ナンマイダブ」

中年の警官がぽつりと呟いた。

眼球は飛び出さんばかりに向きだし、

青い唇からは泡が吹き出ていた。

死人の顔だ。

生活反応からは、苦しんで死んだようにしか見えない。

何者かによって切り裂かれた刃物の痕が、痛々しく腹腔を開いていた。

腹からだらしなく流れ出た大腸は、喉元に込み上げるような臭気を放っていた。

首を絞められた衝撃で、小水を失禁しており、大便で着物の尻はひどく汚れていた。

鬱血した首回りが、赤黒く変色している。

生前の姿から一変し、腐った魚のような風貌に変わり果てていた。

さらに惨いことに、

遺体は逃げられぬよう、生きたまま両足をへし折られていたのである。

不自然に真逆へと曲がった足首、手首が、事件の凄惨さを物語った。

あまりに酷い光景に、栄吾は獣のように泣き狂った。

「おまわりさん、女房を、清子を、帰してください!! 」

近くにいた若い、イケメンの警官に、激しく泣きついた。

若い警官は困惑したが、錯乱した栄一の体を、落ち着くまで抱いてやった。

旦那の栄吾は、悲嘆にくれていた。

良心のある村人は、どん底に突き落とされた新婚夫婦を、同情しきっていた。

…ある者たちを除いては。

警察は、旦那の栄吾にあえて言わなかったが、

遺体には乱暴されたあとまでがあった。

知り合いの男に殺されたと推測し、捜査を始めた。

ここ数十年近く、平和な村では事件がなかったせいか、

珍しく警察は本腰を入れて捜査にあたった。

村で証拠や不審な動きがないかと、

動き出した。

すると、意外な事実が判明した。

村に行商人らしき男が、飯時前に村を通ったという。

調査によると、

その男は、四十代後半にも見えたという。

薄汚れたハンチング帽を目深に被り、

色黒に焼け、いかにも肉体労働者といった風体であったそうだ。

男を見たという弁当屋の老婆は、丁度昼の十二時頃、握り飯を買っていったという。

一通り村人への聞き込みを終え、彼は夫を取り調べた。

先程のイケメン警官は、被害者の夫の栄吾に、

「奥方はどこかで怨みを買っていませんでしたか」

と尋ねた。

普段は沈着な栄吾も、この時ばかりは気が気ではなかった。

完全に冷静さを失い、青瓜のように青ざめていた。

「さあ、分かりません。…じつは、妻の過去はよく知らないんです。話したがりもしなかったし、執拗に聞いたってどうしようもないですからね」

彼は言い終えたあと、深く溜め息をついた。

「そうですか…」

警官は同情したように短く言った。

気まずい沈黙が流れる。

彼よりも年下の若い警官は、まだ殺人事件に慣れていなかった。

良心は痛むが、今日中に事情聴取を終えねばならない。

夫の栄吾には、完全なアリバイもあるし、

殺人動機も見当たらない。

犯人の対象からは逃れていた。

だが、万が一という事もある。

片っ端から怪しい人物は取り調べないと済まない。

謎の行商人の行方も追わねばなるまい。

駐在所では、大仕事になりそうだった。

「困りましたね、蔵本さん」

夜更けの当直で、若い警官は嘆いた。

たいそう見るからに困っていた。

峠や麓も探したが、どこにも証拠や手がかりも見つからなかった。

犯行直後、犯人はとっくに逃げていたようだ。その姿は誰にも目撃されていない。

なにも見つかるはずがなかった。

「平和ボケしてたもんだからな、こりゃ見つかるのも難しいな」

安い煙草を吹かしながら、蔵本は物憂げそうに答えた。

「でも、必ず捕まえて見せますよ! 」

大袈裟に胸を張り、彼は言った。

この十九歳の若い巡査が三沢村に今年赴任してから、まだ幾らも経っていない。

初めての大事件だ。

新人らしく、俺が解決してやろうとでも気負っているのだろうが、今回の事件にはずさんな末路しか想像できなかった。

蔵本はベテランなりに、ぼんやりとそんな事を考えながら、また一服した。

しかし、この若い警官は、最後に余計なことまで言った。

「災難だなあ、あすこの旦那さんも…。だって

まだ一年もたってないんでしょう?結婚してから。まさか奥方をこんなに早く失うだなんて、思いもよらなかったでしょうね……」

 

同情したように語った。

その言葉に、中年の太った蔵本は、眉間にシワを寄せ、鼻で笑った。

「はは、くだらんねえ。害者にいちいち同情したところで、切りがないんだよ。

菊門。貴様も、つべこべいってる暇があるなら、早く犯人をとっ捕まえてくるこったな」

そう言い放つと、椅子から乱雑に立ち上がり、奥の仮眠室へと消えた。

バタン…と音を立て閉められたドアを見つめ、

若い巡査は、蔵本さんの機嫌を損ねてしまった。

と意気消沈した。

翌日には、簡素な葬式が行われた。

夫の栄吾は、涙を浮かべ参列を後にした。

数日後、信じられない証言が出た。

村のある男に聴き込みをした際に、漏れた情報だった。

貸し本屋の店主に、死んだ女について聞いた。すると、思いもよらぬ事実を吐いた。

「…巡査さん。あすこの旦那さんには、言わんで下さいよ。でないと、今度は俺まで殺されちまいますからね。じつは俺、あの女にいっぺん誘われて、一晩情事を持ったことがあるんですよ」

声を圧し殺して男は告白した。

若い巡査は心底驚いた。

「旦那さんは気付いてなかったんだが、じつは俺以外に、知ってる限りでは、あいつと関係を持った男が、二人ほどいてねぇ。まあ金を払うことが条件でしたがね。身売りですよ、…ええ身売り。旦那の商売を気遣って、生活費に納めてたんでしょうねえ…」

先程とは打って変わり、饒舌に男は語った。

別れ際に、猥褻な笑顔をにやりと浮かべると、二人の居場所を警官に教えた。

どうも感じの悪い男だったな、と若い警官は心のなかで悪態付いた。

今度は二人の家を順に尋ねた。

豆腐屋の若い男は、頑なに口を割らなかったが、渋々と認め始めた。 

「…奥さんに誘われたので、二度及びました…」

やはりこちらも女から誘われたと言った。

「あのう、巡査さん、わたしは、罪になるんでしょうか?」 

豆腐屋は、脅えたように情けなく聞いた。若い警官は、曖昧に答えるしかなかった。

さらに奥へと進んだ村外れに、丁度猟師の家があった。

「ごめんくださーい」

玄関から主を呼ぶと、

まっ昼間から酒を飲んだ男が出てきた。

用件を言うと、軽々しく猟師は答えた。

「ああ、あの死んだ女かい。そういえば、ある夜来ては、いきなり誘われてねぇ。旦那には悪いけど、金を払ってから……。どうせあんた、貸し本屋の野郎にチクられて、ここに来たんだろう?無駄だよ。あのあばずれは、きっと他の男にも売春してるさ」

これまた下卑た笑い声を挙げて、猟師は故人を馬鹿にした。

正義感ある菊門は、怒りをこらえるのに必死だった。

生前彼女を見たことのある菊門だったが、

そんな軽薄な女性には、とても見えなかった。

石のように寡黙で、静かに旦那に寄り添う姿が浮かび上がる。

婦人がどうして、そんな事をしたのか。

警官には見当もつかなかった。

男はまだ喋ろうとしたが、警官は嫌悪感の中、早々に退散した。

死んだ清子の夫の、栄吾の叔父は、

割りと近くに住んでいた。

尋ねると、村田次郎は、哀れそうに新婚だった二人の様子を語った。

「栄吾が国に帰ってきたとき、奴には居場所がなかったんです。

奉公先の呉服屋も焼け落ちていてね。

そこの主人の旦那も、火災で亡くなってる。

働きぶちもなかった。

そんな栄吾に、私はこの三沢で働かないかと、持ち掛けたんです。

私が貸した資金を、返さなくても良いと私が言ったのに、返そうと、必死で働いてくれてね。

商売に身を粉にして取り組んで、良い嫁さんまで貰ってって言う時に…

ほんと、残念ですよ…。」

語り終えると、叔父は辛そうに溜め息を漏らした。

目を瞑り、思い出に浸っているようだった。

「お気の毒でしたね……。近頃、奥方の身の回りで、なにか不審な動きはありませんでしたか? 」

真剣な表情で問うと、

さっきとは変わり、苦虫を噛み潰したような面持ちで、辛辣な答えが返ってきた。

「そんなものは知りません!甥の嫁とは、何の関わりもありませんでしたから。あんな汚い女のどこがよかったんだか……」

甥の嫁への憎しみが、地表に現れた瞬間だった。

言葉を言い終わらない内に、叔父は失言に気がついた。しかし時すでに遅し。

一瞬にして、体の良い建前は崩れてしまったのだ。

警官には、先程の同情の言葉より、これが本音な気がしてならなかった。

険しい表情を浮かべると、叔父は警官を追い払うように、玄関へと見送った。

山に生い茂る、自然林がはみ出た淋しい通りを歩く。

死人に口なし。

せめて死んだ本人が語ってくれたらなぁ、と、一人悔しく思った。

駐在所では、呑気に蔵本が酒を飲んでいた。

新聞を広げ、夕刊を、横目で流し読みしていた。

「本日の収穫は、奥方の売春疑惑であります」

などと、大声で言えるわけもなく、がっくりと菊門は椅子に腰かけた。

 

「あの~……そのですね」

間延びした菊門の声に被せるよう、蔵本は焦れったそうに舌打ちした。 

「あの害者の女は生前、身売りをしていた。そう言いたいんだろ? 」

酒をもう一口飲むと、机にコップを置き、はぁーと生臭い息を吐いた。

そして菊門が驚く姿を、狡猾そうにじろりと眺めた。

「よくわかりましたねえ。俺の言いたいことが」

感心したように笑う菊門の胸を、蔵本が思いっきり小突いた。

「馬鹿野郎。そんなものはガサ入れなくても、とっくに知れてんだよ!あの女の素性なんざ、この村じゃ随分前から有名だったぜ」

またも菊門は驚かされた。

奥方の正体は、元売春婦だったのだ。

詳しい出生までは判明していないらしいが、結婚前は、置き屋の娼婦として働いていたそうだ。

海軍や陸軍の兵隊相手に、春を売っていたらしが、戦局の悪化でどこも不景気。身を沈めていた置き屋も潰れ、路頭に迷っていた。

驚くべきことに、彼女は、堕胎経験が何度もあり、既に赤ん坊を産めない体になっていたらしい……。

その後は、米兵相手に、娼婦として身を売り生計を立てた。

内地の兵隊ならともかく、憎い敵国の米兵相手に身体を売った。その事実が彼女を不幸にした。

厳格そうに見えた奥方には、汚れた娼婦と罵られてきた過去があったのだった。

結果的に、見合いではとんでもない嘘を偽り、村田栄吾の嫁に嫁いだ訳である。

単純な男である栄吾は、まんまと騙され結婚してやった。

無論、彼女は、子供を産めないことなど話すわけがない。

跡継ぎの話になれば、どう言うつもりだったのだろう。

そして彼女は、大胆にも常識外れた行動を、夫のいない時のみ繰り返した。

金と交換条件に、彼女は村中の男に、手当たり次第に手を出したのである。

そして情事の終わった後には、決まって身の上話を男共に語ったという。

男共は、貞操観念の無い馬鹿なアマだ、と。完全に舐めきっていたようだ。

「…ま、本当どうかは、幽霊にでも聞いてみるんだな」と、最後に蔵本は付け加えた。

…蔵本の話に、菊門は呆気にとられて呆然とした。

流石はベテランの警官である。

この村の不祥事の話について、彼の右に出る者はいないだろう。

菊門巡査が埼玉からこの三沢村へ転勤してきたのは、今年の春である。

被害者の新婦は、その前からここで暮らしていた。

その故か、菊門はなにも知らなかった。

いや、知りたくもなかった…。

村社会の、隔絶された真の恐ろしさに、菊門は戸惑いを隠せずにいた。

村の下品な連中も許せないが、

何よりあの奥方に裏切られことが、かなりショックだった。

彼にとっては、あまりに心労の多い一日となってしまったようだ。

いずれもあの旦那がこの話を聞いたら、卒倒してしまうだろう…と、優しい彼は心の中で労った。


へんぴな山奥の、北に位置する三沢村には、訳三百五十人ほどの人口があった。

菊門は、あっ!と息を飲み込んだ。

駐在所の奥には、すべての世帯住所と、名前の乗った冊子があったのだ。

いそいそと埃の被った帳簿を見てみた。

総人口数、350人。

女203人。男147人あまり。

どれも赤ん坊から、年寄りまでを入れた数である。 

村人の犯行であれば、無論。成人男性と絞れた。

遺体には、婦女暴行の跡が残っていたからだ。

それは犯人が残した、唯一の遺留品だった。

これさえなければ、熊や女の可能性も考えられたのだが、熊なら肉を根こそぎ食べただろうし、女なら、二肢をへし折る腕力もないだろう。

どちらにせよ、顔見知りの男が犯人である方が、何かと都合がよかった。

あるいは、外部の男が、殺人に及んだ可能性もあるが、滅多に人が出入りしない村である。 

何らかの、目撃情報があってもおかしくないはずだが、事件当日の不審な男は、弁当屋が見たという、行商人しかいなかった。

死んだ奥方は、身寄りがないというし。

親戚も、友人もない。

ただ、身体を売って稼ぐだけの、孤独な娼婦だったそうだ。

死んでしまったからには、男関係を洗おうにも、事実上不可能に近かった。

まず調べようがないのだ。

だとすれば、

村人の男に、

片っ端からアリバイを聞くしかないのだろう。

…だが、村は捜査に対し、非協力的であった。

死んだ女は、相当怨みを買っていたようである。

不謹慎だから、何も答えられない。と、聞き込み中に追い返されることもしばしばあった。

一刻も早く忘れようとしているようにしか、見えなかった。

遺された旦那の無念を思うと、菊門は、申し訳ない気持ちで一杯だった。

何としても、奥方を惨殺した犯人を捕まえたい。

それが正義感溢れる彼の想いだった。

事件から一週間が経とうしていた。

菊門巡査は、一人で捜査を続けた。

三週間後。寝ずに百世帯ほどに聞き込みをしたが、残念なことに、有力な情報は何一つ得られなかった。

骨折り損のくたびれ儲けとは、まさにこの事だろうか…。

菊門は、自分の無力さに嘆いた。

駐在所では、すでにベテランの警官たちは、事件の捜査を打ち切っていた。

村長を率いる村の圧力で、捜査は中断されていたのだ。

菊門は激昂しそうになった。

なぜ犯人を探そうともしないのか。

事件を闇に葬ろうとする、彼らの動きに抗議したかった。

しかし、若い菊門巡査には、圧力をはね退けなど不可能だった。

七月も、終わりに近づいていた。

蝉の鳴き声が、鬱陶しいほどに暑さを助長した。

駐在所の中は、蒸し風呂のような暑さだった。

Yシャツの背中は、水をかけられたようにぐっしょりと濡れていた。

蔵本は新聞を読んで休憩していた。

「巡回にいって参ります」

警帽のつばをぐっと下げると、菊門は外の自転車に飛び乗った。

駐在所のすぐ前の、大きな坂を自転車でまっすぐ降りる。

陽炎の中、馴染みの民家がゆらゆらと立ち並んでいた。

「すみませーん」

親父さんが奥から出てきた。

玄関で長いこと立ち話をする。

親父さんは愛想よく振る舞っていたが、事件の話になると、途端に表情が変わった。

「あそこの家…かわいそうに、

今じゃ旦那が殺したって、そこら中で噂になってますよ」

菊門は驚いた。

親父さんの話によると、女房の不貞な契りに気付いた旦那が、カッとなって殺したんじゃないか…と、野暮な噂がたっているらしい。

旦那さんもその噂を耳にし、かなり気が滅入っているそうだ。

最後に礼を言い、家を出ると、複雑な想いで巡回を続けた…。

旦那の栄吾の家についたのは、夕方頃だった。

村田商店の看板の文字は、夕陽を浴びて一層寂しく見えた。

玄関の戸を叩くと、弱々しい声で返事が聴こえた。丁度在宅していたようだ。

旦那は快く奥にまで迎えてくれた。

何より、少しやつれた姿が気になって仕方がない。

あれから食も細くなったようで、

飯の臭いを嗅いだだけでも、手で口を押さえる有り様だそうだ。

事件についてはあえて何も触れなかったが、

旦那は突然、押し殺したように、すすり泣いた。

菊門は慌てて背中をさすってやった。

すると、溜まっていた涙が洪水のように溢れだした。

「すみません、菊門さん、こんなお恥ずかしいところをお見せしてしまって…」

旦那は嗚咽しながら詫びた。

その姿は、この上なく哀れに見えた。

「そんなの、お気になさらないでください。泣きたいときは、泣けばいいんです。大の男が泣いたらいけないなんて、それこそおかしいですよ」

菊門は、笑顔で精一杯慰めた。

旦那の涙は、どうにも止まらなかった…。

しばらくすると、旦那は重い口を開いた。

「……菊門さん、あなたも、私が妻を殺したと思いますか? 」

伏せ目がちに、ゆっくりとそう言った。

立て続く不幸に、疑心暗鬼に陥っているのだろう。かわいそうな人だ、と菊門は心から同情した。

「いいえ、私はそう思いません。

犯人は他に必ずいるはずです。個人的な感情論と言われようが、かまいません。

私は、あなたは犯人でないと、信じています」

菊門が真剣な瞳で見つめると、旦那は初めて安堵したかのような顔付きになった。 

やがて辛い胸のうちを、恐る恐る開け始めた。

「…他の住人達の、噂話を聞いてしまったんです。

俺が殺したんだと、勝手に決めつけられていました。それを聞いたとき、俺はもう…。

短い間だったけど、わたしは妻を愛して……」

言い終わらぬうちに、先程よりも激しく泣き出してしまった。

あの気丈な男が、こんなにもうち震えて泣くとは…。菊門は涙をこらえるのに必死だった。

ゴトンッ

驚いて背後を振り替える。

物音は、二人のいる居間の、後ろの部屋から聞こえてきた。

旦那は薄ら笑いを浮かべ、別人のように口角を上げた。

「清子。また来てくれたのか」

故人が目の前にいるかのように呟いた。

菊門はゾッとした。

二人の後ろには、不穏な空気のふすまがあるだけだ。

冷や汗が滲み出る。

旦那はふらふらと立ち上がり、ふすまを開けにいこうとした。 

菊門は慌てふためき、すぐに立ち上がって、旦那の腕を力一杯掴んだ。

すると、正気に戻ったかのように、旦那はハッと目を覚ました。

最初会った頃と同じように、寂しげな微笑みで、菊門に真実を語った。

「じつは、あの日。妻が殺されてから、度々仏間に帰ってくるんです」

菊門は、些か信じられなかった。

妻の葬式のあと、仏間にお骨を置いたところ。

毎晩のように、奇怪な物音がするというのだ。 

旦那は妻の霊だと、決して信じて疑わなかったが、真偽は定かではない。

彼の限界値が越えてきたのだろう。

そう考えることで、菊門はどうにか冷静さを保った。

 

再びハッキリと、大きな音が響いた。 

菊門は意を決した。

「開けますよ、良いですね?」

確認をとると、旦那は「ええ、お願いします」と、少しだけ不安そうに言った。

そっと、襖を開ける。

寒冷な空気が流れてくる。

半分以上開けると、真っ暗な仏間の中央には、小さな仏壇が見えた。

ふすまを全開にし、二人で中に足を踏み入れる。

薄暗くてよく見えないが、一つ言えるのは、この部屋の温度が、明らかに居間と違っていたことだ。

「すみません、真っ暗で…俺も昼間しか線香をやらないんですよ」

電球は何度取り替えても壊れてしまうようで、現在では昼しか仏壇の手入れはしないという。

辺りを見渡しても、一面闇ばかりだ。

唯一、遺影が飾られているのを確認できた。

明かりをつければ、まったく普遍的な部屋なのだろう。

…すぐ近くから、また音がした。

闇のなかで、死んだ妻の怨念が蠢めいているとでもいうのだろうか。

原因は何なのか、はっきりしなかった。

ただ、仏間全体から、物音はしていた。

それよりも、旦那の落ちくぼんだ虚ろな目が、一点の闇を愛しそうに見続けていたことが、なにより恐ろしかった。

菊門は村田商店を後にした。 

あっという間に夜になり、空は真っ暗になっていた。

旦那をあの家に、一人残すのはかわいそうに思えたが、菊門巡査には、まだ仕事が残っていた。

「私にできることがあれば、遠慮せずに何でも言ってくださいね」

玄関前で、菊門は言った。

「色々とご迷惑をおかけしてしまって…ほんとうに、ありがとうございます」

旦那は申し訳なさそうに、深くお辞儀した。

菊門は、旦那に軽く会釈をすると、長い坂道を、自転車で駆け登っていった。

駐在所までの道のりを、物思いに浸りながら走った。

前輪のライトは、静寂の夜道を明るく照らしてくれた。

風が吹き、森の木々がざわめく。

菊門は、事件後の、変わり果てた旦那の姿に、深い悲しみを覚えていた。

婦人は、何故あんなむごい殺され方をしなければならかったのだろうか。

猟奇を孕んだ殺人者は、今もどこかで息を潜めているはずだが、行方不明だ。

事件当時。遺体の外傷は四ヶ所にも上っていた。

へし折れた二肢。切り裂かれた腹。

絞殺の紐跡痕。

そして、婦女暴行の跡。

検死の結果。村の年老いた医師は、

まず犯人は、抵抗する婦人の両足を、逃げられぬよう折ったのではないかと推定した。

その後、首を絞め、絶命させたのだろう。と判定を下した。

警察側は、乱暴したあと、殺したと話していたのだが、

恐るべきことに、

犯人は死んだ遺体に、乱暴を加えたと医師はいったのだ。

事を終えた犯人は、最後に臓物を引き裂いて、床にぶちまけた…。

あくまで検死の結果であり、実際にそうだったかは、わからない。しかし、四十年近く医業を営んできた医師の証言である。

間違いないはずだ。

想像するだけで、寒気がする。

殺害中の、犯人の鬼畜な姿を考えただけで、途端に吐き気がした。

とても人間のなせる所業とは思えない。

屍姦までするとは、相当歪んだ性癖の持ち主であることは確かだった。

粗暴で腕力のある男の犯行か。

あるいは、そう見せかけた、理知的な男

の犯行か。

犯人特定へのプロファイリングは、途方もない作業だった。

駐在所の提灯には、沢山の蛾がぶんぶんと飛び回っていた。

「ただいま帰りました…」

菊門は疲労した様子で、中にはいっていった。

「なんだ、随分遅かったじゃないか」

蔵本はすでに夕食を食べ終えていた。

まだ、汁の入った丼や箸やらが、散乱している。

あとで蔵本さんの分も片付けなければ…と、女房のように菊門はため息をついた。

まったく、巡回にしては遅すぎるぞ、と蔵本は小言を言った。

「はぁ、すみません…」

弱々しく謝ると、菊門は椅子にもたれ掛かり、頼んでおいた夕食に手をつけ始めた。

…冷えたそばが、妙に腹に染みてきて、ようやく生きた心地を感じたのだった。

すると、菊門の記憶の中に、もうひとつだけ引っかかっているものを思い出した。

そばを食べ終えると、早速その疑問を蔵元へ投げ掛けた。

「蔵本さん、あの奥方は、村の複数の男相手に売春をしていた、と、言ってましたよね?」

「ああ、間違いない筈だ。それがどうした? 」

蔵本は、不思議そうに首をかしげながら答えた。

「なら、多少は儲かったはずですが、そのお金は、一体どこに使ったんでしょうね?」

蔵本は眉間に深いシワを寄せ、少し唸った。

「さあな?生活費じゃないか?」

しかし、菊門には、その答えがなぜか矛盾しているように思えたのだ。

「それにしては、村田商店の経済状況は、すこし傾いてるように見えましたけどね。小金が入ったなら、もっと無駄遣いするはずですよ。…失礼ですが、家の中も、こじんまりした感じでね。とてもそんな金が入っていたようには見えませんでしたよ」

蔵本は、うーむと、困ったように顎を手でさすった。

「するってえと、貴様は、女の手にいれた金の行方が、おかしいというのか?」

「ええ、きっと奥方は、何か別のことに、資産運用していたんじゃないかと思うんです」 

菊門は軽快に答えた。

蔵元にしては珍しく、黙ったまま話を聞いてやった。

「じつは奥さん、金貸し業者だったんじゃ無いでしょうか?」

菊門は歯切れよく言った。

その言葉に、蔵元の眉が、一瞬ピクリと動いた。

「あくまでも俺の予測ですが、奥方は、売春の傍ら、集めた金で、村公認の闇金業者として働いていたのではないでしょうか?

しかし、どうも冷酷な女で、借金の取り立てにはなかなか厳しかったと……。

ある時、借金の返済に困った男が、奥方の元を訪ね、もう少し待ってくれないか、と無心にくるんです。

すると、奥方は冷たく返済を命じた…。それに逆上した男が、惨殺した。そして逃げた。……なんてのはどうでしょう?」

菊門は最後、これで間違いないだろうと思った。

しかし、蔵本は、惜しいな…と呟き、後に加えた。

「だとしたら陳腐な男だな。

あの殺されに方は、もっと深い因縁のようなものが感じてならなん。

それに、俺にはあの害者の女に、金貸し業が勤まるほどの頭があったとは、正直思えんのだよ」

一瞬、誉められるかと期待していた菊門は、がっくりとうなだれた。

「ただ、きさまにしては、なかなか良い考えだったね。金の行方を、調べるのは悪くない。もしかすれば、金絡みの事件だったのかもしれんしな……。ただ、ひとつだけ忠告しておく」

菊門はごくりと唾を飲んだ。

「深入りだけはするなよ」

鋭い眼光が、菊門を突き刺した。

当直が終わり、蔵本は菊門に背を向け、仮眠室に消えていった。

深入りだけはするなよ。

その言葉は、当直明けで眠りにつくまで忘れられなかった…。



死人に朝は来ない。

気味の悪い夢から覚めたとき。

菊門は、その事実に、ひどく安堵した。

生前、奥方が不正な金に絡んでいないかどうか、調べてみたのだったが、どうも手で霧を掴むような思いだった。

巡回中、また馴染みの親父さんにその事を話すと、それは初耳だね。と不思議そうにしていた。 

親父さんの出した煎餅を、男二人でぐるっと囲んだ。

菊門は腰のサーベルまで外し、あぐらまでかいて、中々くつろいでいた。

「たとえば、奥方が金貸しで儲けてる、なんて話はありませんでしたか?」 

「うーん、悪いが聞いたことないねえ…。

ここって噂話がひどいだろ?

そんな事実があれば、三軒先まで筒抜けの筈なんだが、何の波風も立っていないってことは、可能性は低いんじゃないかい?」

親父は中々的確に答えてくれた。

村公認の闇金業者なら、すこしは話題にもなるはずだが、そんな物は存在しなかったらしい。

ただ、売春が実際に村ぐるみで行われていたことは確からしかった。

つまり彼女は、金の利子で儲けることまでは、思い付かなかったのだろう。

なら、金は箪笥の肥やしにしたか、別の用途に使っていたのだろうか?

腕を組み、考え込んだように黙りこむと、

親父さんは険しい顔で忠告した。

「あんたも必死になって捜査してやってるみたいだけど、気を付けた方がいいよ。そのうち、あんたまで、犯人に殺されちまうかもしれんよ。そうなったら責任のとりようがないぜ」

菊門巡査は、大柄な体躯の持ち主だった。

柔道二段の心得もあるし、並みの男相手なら、捻り潰せる自信があった。

「あはは!心配しないでくださいよ

犯人なんて返り討ちにして見せます」

菊門はへらへらと笑ってみせた。

「ばか!男でも、絶対に気を抜くなよ!」

親父は叫んだ。

温厚な親父の激変に、仰天して驚いた。

ガタイの良さは、あまり関係ないらしかった。

さしもの猟銃や日本刀なんか使われたら、太刀打ちできないだろう。と、親父さんに怒られた。

あまり油断するんじゃないよ…、と、親父さんは心配したように静かに言った。

そりゃすみません、と菊門はしょんぼりして謝った。

親父さんの気迫にも負けてしまう位だから、

きっと犯人と対峙すれば、倒すことなど夢のまた夢なのだろう。

親父さんはまた、最後の煎餅をかじり、袋の中身を全部平らげてしまった……。

ギラギラと照り付ける太陽に、滝のように汗は流れた。

自転車に乗っても、今日はなま暖かい風が鬱陶しく、頬を撫でるだけだった。

半袖のY シャツから伸びた、褐色の腕は、今年の夏のお陰で、さらに黒くなりそうだった。

ふと、昨日の心霊現象ともとれる、謎の音を、菊門は解明したくなった。

科学的根拠より、何より、あれは、奥方の霊が、なにかを伝えようとしたのだろうか?

……思い立ったが吉だ。

菊門は、村に唯一存在した、大きな寺へ自転車を走らせた。

先月の葬式も、この寺が仕切っていたのである。

寺の墓地は、墓に包囲されているせいか、蒸し殺されそうなほど暑かった。

しばらく道を進むと、案の定、黒装束の人影を見つけた。

「こんにちは。きょうも暑いですね」

墓に打ち水していた和尚の背中に、声をかける。

「えっ」と小さく驚いたような声を出すと、

顔面蒼白で和尚は、後ろを振り返った。

そこには、菊門巡査が立っていた。

…和尚は少しの間固まっていた。

やがて、ぎこちない笑顔に変わっていくのがわかった。

「あぁ、巡査さんですか」

菊門は少し不審に思ったが、突然の来客だからだろう、と納得した。 

用件を話すと、和尚は簡単に中に入れてくれた。

境内の中は、病的なほどに涼しかった。

村の檀家から貰ったという、高級そうな和菓子を、惜しげもなく出してくれた。

遠慮して、菊門はあまり手をつけなかった。

「そんな堅苦しくならなくても……どうぞ、召し上がってください。いやね、腐るほどありましてね、どうも一人じゃ食べきれないんですよ」

眼鏡の奥のつぶらな瞳は、どこか寂しそうだった。

この若い和尚は、年老いた父を亡くしていた。

若くして、彼は寺の住職を引き継いだのである。

「ありがとうございます、じゃあ、おひとつ頂こうかしら」 

和菓子に手を伸ばすと、菊門は口に頬張った。うん、美味しいですね、と素直に言うと、嬉しそうな和尚は、さらに菓子をすすめた。

蝉は、境内中を四方から囲んで鳴きわめいていた。

寒い。まるで昨日の仏間のようだ。

霊の溜まり場とは、どこもこう気温が低くなるものだろうか?

菊門は寒さのあまり、何度も腕をさすった。

「…さて、あなたは霊は、この世に存在するのかと仰っていましたね」

薄暗い境内で、和尚は声を潜めて言った。

そうだ、本題に入らなくては。

享年二十五才。

奥方は女盛りで死んだ訳である。

この世への未練など、あって当たり前のはずだ。

「はい。じつは、昨日は、村田商店の旦那さんの元を訪ねてきたんですよ」

その言葉に、和尚の顔色が少し変わった。

「殺された奥方の仏間でね、大きな物音が、聞こえたんです。それで旦那さんとわたしが、二人で入ってみたんですが、何にもおかしいことはなくて………。そしたら、仏間の中で、再び音が鳴ったんです」

無心な表情で、和尚は黙って聞いていた。

続けて菊門は、他愛もなく話し続けた。

「きっと、物理学的に証明できることなのかもしれませんが、どうもわたしには、奥方の霊が、なにか無念を伝えたかったような気がしてなら無いんです。旦那さんだけに聞こえたんならともかく、他人のわたしにまで聞こえたって言うのが、どうも不思議でね……」

聞き終えると、和尚は考えるように目を瞑った。

しかし、その筋の専門家らしく、今回起こった怪奇現象について、詳しく論じてくれたのだった。

「未練を残して死んだ霊の中に、地縛霊というものがあります。

奥さんは家でお亡くなりになったそうで……。

まだ霊体が、この世にさ迷っているという菊門さんの説も、あながち間違いではないでしょう。」

ではあれは……、と、菊門が言いかけたところを、和尚は制してこう言った。

「でも、大抵は、古い家屋の木材が、気温の温度差を生じて、軋んでいるだけだったりするんですよねぇ。特に夏場なんかは、家から変な音がするって言うのも、よくあることなんです」

簡単にその理屈を述べてみせた。

菊門はひどく衝撃を受ける。

なんだ、あれは古い木材の軋む音だったのか……。

しかし、それにしては矛盾があるように思えた。

まず、冷たい部屋に、暑い部屋の空気を流す。

(その逆でも良し)

すると、急な温度差に、木材は伸縮して、はねあがり、大きな音を放つというのだ。

しかし、二人が戸を開ける前に、音は不気味に響いたのだ。

空気の変動はないはずだが、いったいなぜ、派手な音がしたのだろう。

…それに、何故閉め切ったはずの仏間は、あんなに涼しかったのだろうか。

蒸し暑い、というのなら分かるが、

あの部屋の温度だけ、異常に寒いということも、納得いかなかった。

霊の存在について、心行くまで談義し終えると、菊門はお礼を言って、彼の元をおいとました。

和尚は、菊門が蟻のような大きさになるまで、境内の外から見送っていた。

完全に巡査の姿が見えなくなると、彼は寺の中へ消えていった……。

巡回という名の事件捜査は、今日も終わりを迎えようとしていた。

辺りが闇に包まれようとしている。

はやく帰らねば、また蔵元に小言を言われるなぁ、と菊門はため息をついた。

村をぐるぐると一周し終えたあと、気がつけば、寂れた心療所に辿り着いていた。

そういえばここは…。

事件の検死を任せた、老医師の診療所ではないか。

老いた医師は、いまだ一人で生活していた。

同じく医師の息子は、近くの町に住んで、自分の病院を経営しているという。 

ここもそのうち潰れ、山森と同化してしまいほうな雰囲気だった。

しかし、名だたる名医として、今も村人からは尊敬されていた。

窓からは明かりが漏れていた。本人は自宅にいるのだろう。

突然で申し訳なかったが、この老医師にも、事件について話を聞いてみることにした。


「こんばんはーご主人いらっしゃいますかー?」

玄関の戸を何度も叩く。

しばらくすると、床を引き摺るようにして、ずるずると歩く足音が聞こえた。

がらがらと、乱暴に戸が開けられる。

「一体、こんな晩夏の夜に、何の用かね?」

ぎょろりとした眼が睨んだ。

小柄で太った老医師は、菊門の鎖骨あたりしか背がなかった。

だが、上目遣いの眼差しは、尻込みするのに充分なものだった。

「じつは、あの事件について、ベテランの医師のあなたに、色々とお話をうかがいたいんです」

菊門の言葉に、老医師は邪険そうに鼻で笑った。

「さあねぇ、事件は警察のほうに任せてあるもんでな。ちんたらしているみたいだが、まだ解決しそうにないのか? 」

早く帰れと言わんばかりに、うざったそうに老人は舌打ちした。

態度の悪い老人だ。と、菊門はあきれ返ったが、反撃に出た。

「ええ、そうなんですよ、わたくしのような若僧では、なかなか難しくありましてね。よろしければ、あなたのような名医師に、ぜひとも助言して頂きたいのであります」 

菊門は、いかにも頼りない素振りをみせた。

この手の老人は、自尊心を満たしてやるのが一番効くのだ。

菊門は操縦方法を心得ていた。 

やけに腰の低い菊門を、爪先から胸までゆっくり眺めると、老人は、ごくりと唾を飲み込んで、いやらしく笑った。

「…まぁ、上がんなさい」

気難しい老人は、退屈しのぎに若い巡査を中へ誘った。

独り暮らしの老人の部屋は、意外にも片付いていた。

見るからに神経質そうな男だと、職業柄、菊門は無意識に分析していた。

彼らは洋物のソファに腰かけた。

菊門の反対側には、ふんぞり返ったように座る、太った老医師が見える。

足を組み、禿げ散らかした頭をかきむしると、ふわーっと退屈そうに欠伸をした。

菊門は、眉間にシワを寄せ、我慢した。

「あの新婚夫婦の事で、何か知ってることはありませんかね? 」

老医師は、重大な証拠ともとれる証言をを吐いたのだった。

「患者には、守秘義務というものがあるからね。これは言わないでいようと思っていたんだが、

じつはあの二人、別々にある事で来院したんだよ」

菊門は慌てて身を乗り出した。

いつも通り紙とペンを取り出すと、次の言葉を待った。

二人はいつ来たんです?と満を持して言った。

「あれは事件の起きる一ヶ月前の、五月頃だったかねぇ?

嫁は性病で来たよ。

しらべてみると、淋病にかかっておってな。

症状は相当ひどくて。

…まぁ村の男供にも、当然伝染ってますわな。

娼婦の頃から、検査なんてろくにせず商売してきたらしいから、

相当悪い病気を持ってたんだろう」

先程とはうって代わり、饒舌に言葉が並んだ。

…これは新しい証拠ではなかろうか?

菊門は、ようやく土産をもって帰れるような面持ちで聞き入った。

「あの馬鹿嫁は、夜の生活まで、べらべらと語ってくれてねぇ。

旦那とは普段、交渉が全くないらしい。

あの嫁が誘おうと、滅多に応じないんだと。いやー驚いたね。嫁を心では愛していたが、

どうやら体までは愛せなかったようだ。

それで溜まりにたまった嫁は、村の売春業の捌け口に、自ら乗り出したという訳さ」

それで旦那は?と、息もつかず聞いた。

「じつは、あの旦那。この村に来た頃からね。よく隠れて、切れ痔の薬を貰いにきたんだよ」

はて、痔持ちとは珍しいな、と、至って健康な菊門は首をかしげた。

「この痔はどうしたんだ?と聞くと、持病だ。

と答えたんだが、ワシにはすぐわかった。あれは釜を掘られたあとに出来る、特有の傷だったからな」

…信じられない事実だった。

「まあ治療して以来、旦那は来なくなったんだが、きっとあの旦那。掘られる専門の男色家だったんだろうな。男色の経験が過去にあると、なかなか抜け出せないっていうからねぇ」

他人事のように老医師は言い放った。

メモを取り終えると、菊門は、ぽかんと自然に口が開くのがわかった。

老医師はそんな姿を満足そうに見つめた。

「これはワシの推測じゃが、

嫁よりも、旦那の関係を洗うっていうのも、なかなか良いんじゃないかね? 」

最後の言葉に、菊門は閃いたような気がした。

嫁の男関係にばかり気をとられていたが、

潔白そうな旦那の関係には、眼がいかなかったのだ。

これは調べてみる必要がありそうだった。

ここのところ、調査が不作だった菊門にも、少しだけ希望が出た。

「ありがとうございます。とても参考になるお話でした! 」

菊門は大袈裟な笑顔を作ると、好青年らしく振る舞った。

老医師は、人が良さそうに笑った。

「また行き詰まったら来るこったな」

意気揚々と菊門は駐在所へと帰っていったのだった。


「……と言うわけで、男色家の旦那と、体関係のあった男が、嫉妬に狂い、奥方を殺したんじゃないでしょうか?」

菊門はなかなかの名推理だと、我ながら自負していた。 

蔵元のほうを見ると、首を思いっきり傾げていたのだが、挫けなかった。

「旦那が、男色家……?」

蔵本は怪訝そうに言い終えると、しばし沈黙した。

そして、じいーっと、菊門を訝しげに見つめると、そっぽを向いてしまった。

その冷えた態度に、慌てて訂正した。

「いやあの。それはですね。

検死を担当した、あの医師が証言していたことなんであります。

実際にそうなのかは、本人に聞いてみないとわかりません」

思わず冷や汗が出た。

まさか、変な勘繰りをされてしまうとは思わなかった。

蔵元は蔑んだように見つめてきた。

「で、お前はどうするつもりだ?」

トゲドゲしく言い放たれる。

菊門は、しどろもどろに答えた。 

「そりゃ、まあ、旦那の男関係を、洗いざらい掘り返すしかないでしょうね」

眼が泳ぎながら、それ以上言えなかった。

「……旦那のほうの関係を探るというのは、なかなか良いと思うぞ。

今までは、嫁のほうにばかり目がいってたからな。あり得んこともないだろう」

この世には、男に惹かれる男が少なからずいる。

でもそれは、かなり少数派でもあった。

かなり狭い世界の話しだ。

だとすれば、村に男色家がいれば、芋づる式に、いくらでも引っ張り出せるだろう。

「それとガサ入れには充分注意しろよ。

米国じゃ、男色家専門の狩りも頻繁にあるくらいだし、

ここは閉鎖された村社会だ。

なんでも素直に言うと思ったら、大間違いだぞ。

何が起ころうとも、貴様が責任をとるつもりでいろ」

蔵本は強く釘を指した。

「わかってますよ」と、菊門は大きく頷いて見せた。 

六月終わりごろに、惨劇が起こった。

事件から、ゆうに一ヶ月以上は経過していた。

たとえ生前、どれほど畜生な人間であろうと、

決して殺しは許されるものではない。 

犯人を、草の根分けてでも見つけてやる。

悪を裁くのが信念の彼は、一人息巻いていた。

……それと同時に、また不安も襲った。

いままさに、水辺で藁をも掴む想いで

捜査に当たっているが、果たしてこの事件に、出口はあるのだろうか?

翌日も、菊門はめげずに捜査に没頭した。 

旦那と親しい男を、当たってみることにしたのだった。

金物屋の親父さんの店は、駐在所の坂を降りたところに、ポツンと立っている。

きょうもまた、情報通の親父さんの元を訪ねた。

この親父は、昼間からだらしなく酒をあおっている事で有名だ。

「やれやれ、こう三日連続で会いに来られちまうとさ。まるであんたに横恋慕されちまったみたいだな……」

乾いた声で、親父さんはこんな冗談を言った。

菊門も思わず苦笑いする。

脱線した話を、旦那へともどすと、男色の疑いについて、詳しく尋ねた。

親父さんは、一瞬驚いて、菊門を恐ろしげにじろりと見た。

誤解しないでくださいね、と菊門は声を張り上げ少し怒った。

親父さんは、笑ってごまかしていた。

すると、親父さんは、珍しくぴんと来たようだった。

「ああ、そういえばあそこの旦那さん。

外れに住んでる和尚さんと仲が良かったねぇ。親しく話してるのを見たことあるよ。まあ、お互い歳も近いだろうしねぇ」

和尚が怪しい、と親父さんは言った。

菊門はすかさずメモ帳に、

「和尚、男色ノ疑イアリ」

と大きく書いた。

他は?他の男は?と、中年の女のように、菊門は食いついた。

 

「んーあとは知らないけど、

あの女房はともかく、旦那は浮気どころか、若い女にもあまり興味なさそうだったよ」

なるほど…。

感嘆のため息をつく。

これは本人にも、それとなく探る必要があるかもしれない。

菊門は腹を決めた。

ところで、何故そんなことを聞くのかと、親父さんは疑問を口にした。

菊門は要約した説明を噛み砕いてしてやった。

親父さんはいかにも面白そうに微笑んだ。

「ほーなかなか良い推理だね、三問小説にはぴったりの題材じゃないかい?この間のよりかは、突拍子ないところがおもしろいぜ」

あんたにしては、凄いじゃないか。と、旦那は珍しく誉めてくれた。

得意気に菊門は笑う。

「言われてみれば、旦那さんが男色家っていうのも、何だか頷けるような気もするねぇ」

親父さんは思いだしたように、腕を組みながら、感心したように頷いた。

菊門はその姿を、満足そうに見つめた。

どうやら和尚との繋がりを調べる必要があった。

八月の日光が、炎々と墓石を燃やす。

和尚は運良く宅に居た。

二度目の訪問にも快く応じてくれたのだった。

涼しげな着物姿で、本堂のほうへと手招いた。

「いやはや、外は暑いものですね」

汗っかきらしい和尚は、手拭いで汗を何度もぬぐった。

そうでございますなあ、と同感したように答えた。

緊張感から、ごくりと唾を飲む。

体を張った勝負が始まろうとしていた。

「あっ!いててて!」

菊門はわざとらしく、思いっきり顔を歪ませた。

「どうなさいましたか?」

和尚は心配したように、顔色を覗き込んだ。

菊門は痛々しく笑うと、尻のほうを優しく撫でた。

「面目ない、じつは切れ痔が痛みましてね」

菊門の痛がる演技は上手かった。

切れ痔と言う言葉に、彼は少し動揺したが、

すぐに普段の冷静な姿に戻った。

ケイトウという、トサカ状の野草がありましてね。

それを細かく刻んだものを、ごま油でよく練るんです。

切れ痔の根に塗ると、四、五日程度で治るんですよ。

先人の知恵と言いますか、便利でね。

ま、現在では、処方されたお薬が一番なんですけどね」

和尚は慣れたように流暢に答えた。

いとも簡単に、痔の玄人かのような知識を披露してくれたのだ。

そこで菊門は、一か八かの先手を打った。

「申し訳ないのですが、薬を塗っていただけませんか? 」

「えっ! 」

菊門は情けない顔で懇願した。

和尚は困惑したようすだった。

「どうにも手が届かなくってねぇ……すみませんが、お願いします」

人の良い親切な男は、仕方がない。

と覚悟を決め、菊門のもとへ近寄ると、彼の薬を受け取った。

菊門は、制服のズボンを、目の前で脱いで見せた。

キツそうにベルトを外すと、立派な一物が収まった、褌が現れた。

その褌姿を、和尚は興味津々に、

じっ……と猥褻な視線で見つめた。

菊門は大胆にも、尻を高く付きだし、目の前で四つん這いになった。

餅のように柔らかい、大きな尻を、和尚の眼前へと向けてやった。

(イケメンの巡査が、無防備に俺に処女マンコを捧げようとしている)

和尚の心中は、限界まで高ぶっていた。

ハァハァハァハァ

荒々しい呼吸音が、はっきりと耳に聞こえる。 

熱い鼻息が肛門に直撃した。

「すぅ~~ん……んん、はぁ~~…で、では、塗りますよ? 」 

「はい、お願いします」

和尚は尻穴に鼻を近付けると、存分に臭いを嗅いで、楽しんでいるようだった。

薬の丸いケースに指を突っ込むと、巡査の穴に、

容赦なく中指を奥まで入れた。

貫通の痛みに、菊門の顔は少し歪んだ。

じゅぷり……と甘い音がした。

和尚はたまらなくなって、ゆっくりと指を徐々に動かした。

巡査の用意した痔の薬は、滑稽剤の役割を果たしていたのである。

「あっ……あんあんあ~~

和尚さんの指、

すごい気持ち良くて……

おかしくなりそう」

菊門は眉をしかめ、いかにも気持ち良さそうな声で喘いだ。

勿論、これも演技なのだが、

和尚の興奮は、最高潮にまで達した。

とっくに和尚は、空いた方で、勃起した自らのマラに手を伸ばしていた。

浅黒い腕は、ふんどしの割れ目からとりだしたモノを、上下に激しくしごいている。

和尚のマラは、ヨダレを垂らし、尻穴にぶち込める瞬間を、今か今かと待ち焦がれていた。

巡査の尻を、さらに片手で揉みしだくと、

恍惚そうに、何度も尻穴に接吻しては、執拗に舌をねじり込んだ。

一旦顔を離すと、ゆっくりと中腰になり、菊門の尻へ、膝をついたままにじり寄った。

そのままビンビンになった包茎マラの先っぽを、

いやらしく穴にあてがったのだ。

尻穴は、物欲しそうにパクパクと口を広げていた。

そんな好き者のマンコには、

我慢汁の出た亀頭の先で、円を描くように撫でてやる。

グチュグチュッと淫乱な音が、小さく聞こえてくるのがわかった。

肉棒を片手で持つと、しばらく入り口に亀頭の先を押し付けては、まるで穴と尿道が接吻するかのように楽しんだのだった。

「はあはあはあはあん……

おっ、おマンコに、私の般若心境棒を入れて上げますからねぇ~~~?

あ、安心してください。

浄土真宗流昇天ファックで、極楽浄土にイかせてあげますから……」

南無三ッ!とばかりに、いよいよバックから尻穴を突き刺そうとした和尚だったが、

突如、

はぁ…と、菊門は冷たく溜め息をついた。

和尚は突然の豹変に、固まった。

菊門は尻を丸出しのまま立ち上がると、

和尚に背を向け、鋭く吐き捨てた。

「あなたの本性が完全に現れてしまったようですね」

和尚はどきっとした。

心臓の鼓動がうるさくなる。

「……一体全体、どういうことでございましょう」

眼鏡の縁を、くいっと持ち上げ、余裕を装った。

菊門は、挑発するような蔑んだ目で、鼻をならして答えた。

「村田栄吾。……あすこの旦那さんと、

あなたは、密かに情事関係を持っていたのでしょうね」

村田栄吾という名前に、ビクッと体が反応した。

引き潮のように、さーっと、顔色が青ざめていくのがわかった。

「馬鹿を言わんでください。その証拠は? 」

和尚は馬鹿にされたように、静かに怒り狂った。

別人のように顔を真っ赤にし、恐ろしい形相で菊門をにらんだのである。

だが、そんな修羅場だと言うのに、勃起した一物だけは、直立不動の姿勢でそそりたっていた。

「先ほど確認させていただきましたが、あなたは男の制服、肛門、痔に対して。異常な性的興奮を感じておりますね?」

矢で的を射ぬかれたような衝撃が走った。

和尚の性癖に、明らかに合致していたのだ…。

追い討ちをかけるかのように、菊門は彼に向き合うと、見下ろしながら言葉を続けた。

これはあくまで、私の推測ですが……と前提を付けた。

「和尚さん、あなたは持病持ちの、体の弱い寺の長男坊でしたね。 

徴兵検査では、一度は丙種合格となったものの、肺炎で引っ掛かり、

二度目には戊種となってしまった。

結果的に兵役にはつかず、内地で生き残れた訳であります。

しかし、お国のために戦わず、命を長らえた……。

その事実が、あなたのプライドを著しく傷付けるに充分だった。

健康な兵役者の存在は、あなたには憎悪の対象でしかなかったのです…。

それが、制服の男に対して、歪んだ性癖を生み出した要因でしょう」

和尚は目を見開き、ただ愕然とした。

「人間とは、死ぬまで無い物ねだりする生き物です。

自分に無いものを持ってる人間に対して。

憎み、羨み、殺意を抱く……。

それが人間の本来の姿でしょう」

真理を突かれたような言葉に、感情の波は激しくなった。

和尚は、自分よりも若い巡査に諭されていたのである。

「和尚さん、あなたはまだ何も失っていません。

だから、いまここで、真実を打ち明けてください」

和尚は歯を食い縛り、目をつぶった。

「ううううっっ」

やがて呻きながら頭部をおさえると、 

ずるずると床に崩れ落ちていった。

狂ったような叫び声が本堂を包む。

「ああ!

そうだ、そうさ!

俺は変態の好き者さ。

兵隊上がりの村田のケツを、掘ったさ。

興奮して何度もね。

だがな、奴はこの俺を、裏切ったんだ!

奴の嫁と同じように、奴もまた、淫売だった……あ、あ、あううううあ! 」

顔をおさえ、嗚咽し、子供のように泣きじゃくった。

ケツ丸出しの警官と、勃起して泣き狂う和尚が、本堂の闇の中に存在していた……。

目の前の男に、菊門は少しも動じず、新たな質問を尋ねた。

「今あなたは、情事したと認めましたね。

ですが、同時に裏切られたともおっしゃいました。

旦那さんは、一体、どんな人物と関係を持っていたのですか? 」

嗚咽しながらも、和尚は顔をあげて答えた。

「それがわからん。

いつしか村田は俺に冷たくなってな。

性行にも応じなくなり、やがて俺から離れていった…。 

奴を最後に掘った時、痔で肛門がボロボロになっていたことだけ、記憶している。

…どこの馬の骨だかまでは、わからない……」

彼は相手までは知らなかった。

しかし、もう一人の男の存在が見え隠れしていた。

「……そうでしたか。

では、最後の質問です。

あなたは旦那の奥方に対して、

嫉妬心を抱いたことはありますか? 」

菊門の言葉に、和尚は苛ついたように答えた。

別人のような形相でにやつくと、粗暴な男へ変身した。

「あんた、俺が犯人じゃないか疑ってんのか?

あははははは!!

……馬鹿馬鹿しいぜ。

なぜ俺が、あんな便所のようなアマに、

嫉妬して殺さなきゃいけねえんだよ」

唾を吐き捨てるかのように、乱暴に言った。

彼の言葉の真偽まではハッキリしないが、

この男が犯人とは、菊門には思えなかった。

和尚は女性嫌悪の症状があるが、

殺しまでは実行するとは、到底思えなかったのだ。

 

和尚がすべてを話終えたあと。

菊門は本堂を背にし、自転車を押しながら歩いた。

夏の風が、山上から吹き荒れる日の事だった。


まさか本当に和尚が……。

菊門も、当てずっぽうなカンがあたるとは思わず、驚いていた。

村田商店には、完全に人気が無くなっていた。

六月に起こった事件から、二ヶ月ほどしか経っていないのだが、

時が止まったかのような静けさである。

最後に旦那と会ったときは、

まだ店も開いていたのだが……。 

今はもう、閉店していた。

商店の扉は、堅く閉じられている…。

「旦那さーん、中にいらっしゃいますかー? 」

玄関の戸を何度も叩く。

だが、主人の村田栄吾は、ついに姿を現さなかった。

はて、留守かな。

旦那にしては珍しく不在した様子だった。

すると、

こちらの方に向かってくる、小柄な老婆の姿を発見した。

丁度、この近隣に住む婆さんが、帰宅しようとしている所だった。

巡査は気さくに声をかけた。

「すみません、おばあさん。ここの旦那さん、いまお留守みたいなんですが。

それに、店も閉店してましてね。

なにか事情を知りませんか? 」

「あ~~なんじゃえ、あんた、ここの旦那に、用があるんか?」

耳が遠そうな老婆は、大きな声で言った。

「残念じゃが、あの旦那はとうぶん帰ってこないよ。

ついに頭がイカれてな、叔父ん家に連れてかれたよ、たしか四日前だったかのう」

菊門はその事実にゾッとした。

一体どういうことであろうか。

親切な老婆は、せいぜい気をつけなされ、と最後に言った。

「ありがとうございます」

礼を言うと、

自転車のペダルを漕ぎ、疾走した。

老婆の話によると、旦那は遂に気が触れたようである。

事件から二ヶ月後、突然奇行に走るようになったそうだ。

食も受け付けなくなったせいか、旦那は痩せ細り、骸骨のようにやつれた。

深夜に外をうろうろ徘徊したり、

二階の窓から、通行人を見つめたりした。

ある村人は、彼と目が合うと、

にぃーっと不気味な笑顔を浮かべられたと、恐怖していたとか。

時には半日近く、窓から外の様子を、ぼーっと眺めていたのだそうだ。

村田商店はよく窓を開けっぱなしにしていたらしいのだが、

ある日を境に、中から旦那の楽しそうな笑い声が、頻繁に聞こえてきたそうだ。

その頃には、旦那は滅多に外出もしなくなっていた。

しかし、夜明けまでだれかと会話しているのは、流石に村人もおかしいと思った。

不審に思った村人が中に踏みいると、

誰もいないふすまに向かって、

旦那は一人、永遠と話しかけていたという。

一大事だと思った近隣の住民が、すぐに叔父に伝えた。

ようやく異変に気がついた叔父は、

自分の家で、しばらく療養させることにしたという。

叔父のちょっとした屋敷は、威厳をもって佇んでいた。

「ごめんくださーい」

しつこく中の人間を呼ぶ。

人の気配はするのだが、未だ玄関には出てこない。

しばらく立ち往生していると、ようやく女中が出てきた。

見るからに冷酷そうな女であった。

「一体なんのご用でございますか?」

巡査の姿を見とめると、明らかに煙たがった。

「突然訪ねてしまいすみません。

じつは甥っ子の栄吾さんが、ここにいらっしゃると聞きましてね。お見舞いに伺いました」

栄吾の名に、女中の顔付きが豹変する。

血の気が引いたように、青ざめていった。

「失礼ですが、お引き取り願います。

こちらの旦那様が、お許しになりませんので」

菊門を玄関から追い払おうとした。

「いえ、ですが、一目だけでいいので、

何とか会わせてください、お願いします! 」

菊門は深々とお辞儀した。

女中は困り果てた様子だった。

本家の主が、どすどすと音を立てて近付いてくるのがわかった。

奥からは、村田栄吾の叔父が、怒り狂って来たのだ。

「あんた、今更何しに来たっていうんだ!

とっとと帰れ!二度とこの家に来るな!」

女中を押し退けると、番人のような叔父は、

玄関に仁王立ちした。

以前会ったときとは、態度が全く違う。

菊門巡査に対する憎しみが、身体中から浮かび上がっていた。

さしもの菊門も驚いた。

狂ってしまった甥の、行き場のない怒りを、菊門に辛辣にぶつけるしかなかったのであろうか。

「お前のような無能な警察のせいでな、

優しかった栄吾が、狂っちまったんだよ 」

 

叔父は顔を真っ赤にして、いまにも泣きそうに震え、訴えた。

菊門はあえて何も言い返さなかった。

「この税金泥棒

首つって責任とれ

死ね、死んじまえ。畜生野郎め 」

……叔父は、菊門巡査を玄関先で口汚く罵り続けた。



結局、旦那の栄吾とは会えなかった。

玄関先で、それ以上騒ぐ訳にもいかず、菊門は退散を余儀なくされた。

主人は、憎き若い巡査を追い返すと、玄関の戸を乱暴に閉めた。

「あの頭の悪い警官には、常識というものがないのか!

ああ、ムカつきが収まらん……!」

叔父が、中で悪態をついたのも聞こえた。

長い道のりを、巡査は複雑な想いで、帰っていった。

目の前に派出所が見えてくると、

安堵からか、胸をほっと撫で下ろした。

端っこのほうに自転車を置くと、中へとのろのろと入っていった。

「おう、どうした。やけに意気消沈してるじゃないか」

安い煙草をうまそうにくわえながら、蔵本は心配した。

菊門の顔色は、見るからに暗かった。

「はは、何でもありませんよ。

二つほど重大なことが判明しましてね」

「なに?ガサ入れに成功したって言うのか? 」

蔵本はピクリと反応した。

口元の吸い殻を灰皿に押し潰すと、

また煙草の箱を漁った。

蔵本は年季の入った禁煙家である。

派出所内は目に染みるほどの煙たさだった。

菊門が咳き込むと、

「すまんすまん、口が寂しくて仕方なくてな」

と悪びれもなく謝った。

菊門は無言で窓を開け、換気した。

蒸し暑い空気が流れ込んでくる。

菊門は、言おうか言うまいか迷ったのだが、腹を決めた。

俯きがちに、重々しく口を開いた。

「……旦那さん、可哀想に。あまりのショックで、神経衰弱にかかってしまったようなんです」

菊門は、最後に会った日のようすを思い浮かべ、自分の責任だと、罪悪感を感じていた。

蔵本は、哀れだな。と呟くと、黙りこんだ。

お通夜のような空気が流れる

「……無理もないだろうな

旦那にも休む時間が必要なのさ

そっとしといてやれ」

さすがの蔵本も、かなり同情したようすであった。

大体何があったかは、察したらしく、それ以上は何も聞かなかった。

「……旦那の男関係の疑惑は、どうなったんだ? 」

蔵本は真剣な表情でたずねた。

「ああ、そっちのほうは、まるででき損ないの、松竹映画みたいな話でしたよ」

菊門は、事の次第をすべて話した。

大分驚いた様子で、蔵本は目をぱちくりさせた。

まさか、菊門のずさんな推理から、しっぽが掴めるとは、予想だにしなかったのだろう。

「ただどうにも分からないことがありましてね……」 

旦那が和尚以外に、謎の人物と情事していた関係を話した。

「……なるほど。

旦那は和尚以外に、もう一人の男と関係を持っていたのだな。

要するに、男相手に二股って訳だ。

それにしても、もう一人の関係をもった男とは、いったい誰なんだろうね……」

見当もつかん。と頭を苛々したようにかきむしった。

虫も殺さぬような顔をして、村田もすざまじい男だな。

と、呆れたように苦笑していた。

菊門も、乾いた笑いをあげるしかなかった。

突然、蔵本は不可解そうに、眉を寄せた。

「そういえば、和尚には、どんな揺さぶりをかけたら、男色家だってことが発覚したんだ?」

その言葉に、心臓が飛び出そうなほど驚く。

菊門は明らかに動揺し、焦ったように声が上ずった。

「……本官も一介の警官でありますから。

自白するよう圧力して、無理矢理吐かせました」

深刻な表情で、二人はしばらく見つめあった。

菊門は緊迫していたのだが、

蔵本の顔が、思わずくしゃっと歪んだ。

「あはははは!

貴様というやつは、実にすごい奴だな。

右も左もわからんような半人前のくせに。

脅しだけはチンピラ並みだな」

蔵本は珍しく陽気に笑い、

菊門の胸を、ぽんぽんと軽く拳で叩いた。

にこやかな蔵本の姿に、

釣られて菊門も照れたように笑った。

「ま、貴様も、意外にかわいい野郎だからな。

変に片足突っ込んで、釜掘られんようにな」

蔵本は、退屈しのぎに菊門をからかうと、

また気さくに笑った。

菊門は目を伏せると、顔が紅潮していくのがわかった。 

同時に、モヤモヤした気持ちになった。

「お世辞はやめてくださいよ

俺なんかそこらに転がってる、漬け物石みたいな男ですから。

狙われないに決まってます」

顔を真っ赤にして、菊門は否定した。

蔵本はおもしろそうに微笑んでいる。 

やがて、

蔵本は椅子に腰かけたまま、気持ち良さそうに伸びをした。

「うーん……疲れた。煙草が切れちまったから、ちょいとばかし買ってくるよ」

次の瞬間には、

けろっと、いつもの蔵本に戻っていた。

蔵本はさっさと小銭を取り出すと、

村のたばこ屋まで行ってしまった。

その消えた背中を追うように、菊門の瞳は、いなくなった戸の先を、ただ見つめていた。

駐在所の開いたままの戸を、

ぼーっと眺める。

「…………はぁ」

一体どうしたことか。

色恋に憂いた女のごとく、ため息をついていた。

先程の、くすぐったいようなモヤモヤ感が胸に残ったままで、菊門はしかめ面だったが、

邪心を振り払うように、小綺麗な机上に向かった。

(流石に、事件解決のためとはいえ、今日は体を張りすぎたな……)

菊門は激しく後悔していた。

危うく、本当に掘られるとこでもあったのだ。

勿論、菊門は、和尚に掘られるつもりはなかった。

でも、ある男になら、無条件で初釜を捧げて良いと強く思っていた。

溜まった書類を片付けようと、

真新しい報告書を手に取ったのだが、どうも集中できそうになかった。

さっきの蔵本の笑顔を思いだしては、

空っぽの思考から、…小難しい考えが散り散りに飛んだ。

(……ほんとうのことを言えたら、どんなに楽だろう)

男色の気があるのに気が付いたのは、随分昔の事だった。

世間で生きるために、やむ無く隠しているだけであり、男が好きなのは、何年経っても変わらなかった。

19の若い巡査は、心の中では、人並みに恋したいと願っていた。

できれば今すぐにでも、この胸に抱えた不毛な恋に、終止符を打ちたかった。

……男相手に惚れた所で、胸が辛いだけだ。

頭でわかっていても、屈折した煩悩はいつまでも捨てられず、今に至る。

ーー口髭を蓄えた、脂肪のある男。

その男は普段、職を共にする上司だった。

昨年。村に勤務してから、丁度一年ばかりが経つ。

いつの間にか、その上司に対し、敬愛を越えた感情を抱くようになっていたのだ。

蔵本のことが、好きだった。

表向きは、小汚ない中年であるが、

内面は、歳のわりには美しかった。

意外にも、人間としてはよく出来ていたのである。

そんな潔い清潔さが、菊門の目をよく引いた。

そんな訳で、密かに蔵本をかわいいと思っているのだが、

何十年か前に、妻を亡くした既婚者である。

どうせ、俺のことなど目下にも置いてくれないのだろう。と、がっくりと肩を下げる日々だった。

若い巡査が、女々しくプラトニックに浸っているとき。

恐ろしい結末が頭をよぎった。

突然、和尚の泣き狂った姿が、眼の奥に浮かかび上がってきたのだった。

愛した者に裏切られ、嗚咽し、泣き狂う姿。

……もしも蔵本に想いを告げたなら、

たちまち二人の関係は壊れてゆくのだろう。

一歩間違えば、あの和尚のようになってしまうのだ。

(俺は、あんな寂しい男にだけは、なりたくない)

今回の事件後の一端を、

肝に命じることにして、つまらない整頓に戻った。

淡い恋心も、普段通り、心の引き出しにしまうことに成功したのだった。



翌日の夕方。 

菊門はふたたび医師の元を訪ねた。

一晩で彼の中に、あるひとつの確信が生まれたからだった。

それはやがて、犯人の確定とも重なった。

丁度この日は、茜色の空が、やけに真っ赤に彩られた日だった。

老医師の診療所は、相変わらず寂れている。

脇に埋められた蜜柑の木が、豊かに実っていた。

ジリジリと音を立て、木の幹に止まっていた蝉が、驚いて空へと飛んでいく。

玄関越しに、大きな声で医師を呼ぶと、

タニタと、不気味な笑顔を浮かべ、

主人の医師は玄関に出てきた。

品のない男だな、と、少なからず不快に思うが、顔には出さなかった。

部屋に案内された途端、ぎょっとした。

つい近日中に来たときは、洋風のただの客間だったのが、 

あちこちにホルマリンが置かれた、

不気味な部屋に様変わりしていたのだ。

ソファへ託され座ると、菊門は異常な光景に、辺りをきょろきょろと見回した

膀胱、子宮、胆嚢…………膣?

と思われるモノが、数をなして並んでいた。

どれも汚水の中にプカプカと浮かんでいて、見るたび気分が悪かった。

きっと、これは、動物か、人間を解剖したものだろう。

医学に無知な菊門には、その区別さえつかなかった。

だが、これが人間のものだったらと思うと、

不気味さを通り越して、気が狂いそうだった。

…目の前の老人は、痴呆しているのだろうか?

ホルマリンは棚や、机や、壁際に。

まるでインテリアのように設置されていた。

臆病な菊門は、慌ててそれらから目をそらそした。

行き場のない視線は、足元の床を見つめるしかなかった。

俯くしか、彼に術はなかったのである。

その様子を、老人はたっぷりと、舐め回すように視姦した。

「フヒュヘッヘッヘッヘ」

医師は、老人特有の下品な笑い声をあげると、

食らいつくように、顔を近づけてきた。

菊門が面食らったことは言うまでもない。

「怖いか?」

ボソっと、耳元で囁かれたかのような声に、ゾッとする。

彼の猟奇性が、見え隠れしていたといえるだろう。

見えない警笛は、最初から鳴り響いていたと言うのに。

愚かな巡査は、そこに長く居座りすぎたのである。

菊門はあえて何も答えず、老人の質問を無視した。

そして一晩中練った推理を、打ち出していった。

「……度重なる痔で悩まされていた、殺害された婦人の夫、村田栄吾さん。

彼は、あなたの診療所で、去年辺りから治療を受けていましたね。

そして事件後の捜査では、聞き込みとして訪ねてきた私に、あなたは的確な助言をくれます。

嫁の男関係ではなく、夫の関係を漁れと…。

そうおっしゃいましたね?」

菊門が確認を仰ぐと、医師はしっかり頷いた。

奇妙なほど無表情だった。

「昨日、情事関係にあった男性に、

会うことができたんですよ。

……彼はすぐに、村田さんと関係があったことを認めました。

 

しかし、わたしはそこで、ある矛盾に気がついたのです」

医師は真顔で黙っていた。

すると、汚ならしく歪んだ唇を、

軽快に動かした。

「一言一句、間違えず言ってみろ」

ドスの効いた低い声で、脅すかのように言った。

捜査の終盤は、いよいよ近付いていた。

「あなたは私に、情事していた男との性交で、切れ痔になったのだ、と話しましたよね。

ところが、その恋人の男性は、

ある時から、

急に村田栄吾さんが冷たくなったというのです。

性交にも応じなくなったそうで、

今度は別の男と関係をもったようでした。

ここで、謎の男の存在が浮上します。

最後に、その恋人が村田さんと及んだときには、尻穴はボロボロだったと語っています。

つまり切れ痔の原因は、謎の男との性交にあった訳です

私は一晩考えて、ついにその男が誰なのか、わかったのですよ……」

菊門は決定的な推理を言い終えた。

相変わらず医師は、

上の空と言った感じで聞き流していた。

気にも止めず、挫けなかった。

「男の尻穴は、さぞかし具合がよいのでしょうねぇ?溝橋医師」

菊門はわざと、余裕そうな笑みを浮かべた。

……内心は、じつは焦っていた。

この医師が犯人である可能性は、極めて高いはずだった。

しかし決め付けるには、

かなり証拠やアリバイが弱いような気もしていたからだ。

揺さぶるだけ揺さぶるに越したことはない。

怪しいことには怪しいため、ボロが出ることを今かと待ち望んでいた。

「溝橋医師は、その手の知識に詳しそうですからねえ。ま、本人のご趣味なのかもしれませんけど。

おっと、これは失礼」

あえて挑発して、心理状況を乱す。

泥沼の事件捜査では、苦肉の策の一つだった。

いままで医師は、能面のように顔色さえ変えなかったのだが、

突如、破顔して笑った。

(うわっ)

菊門は、つくづく心臓に悪い男だと、

おっかなびっくり瞬きをした。

表面上では冷静を装っているため、

眉ひとつ動かせなかった。

(ここで負けたら、終わりだ。) 

菊門は、足りない度胸を、いま試されているような気分だった。

尋問で、警官が容疑者のオーラに呑まれたら、その瞬間に負けである。

特に揺さぶりをかけるときは、常に高圧的な態度でなければいけなかった。

医師は口角を真上に上げており、

まるで呪いの仮面を見ているかのようだ。

「ああ、気持ちいいとも。最高にね」

医師は答えた。至極正直に。

恵比寿福神のように、にんまりと笑っているのが、不気味さを引き立てた。

この男、和尚とはまるで違う。

……恐ろしい狂人だ。

やがて医師の口からは、自白とも言える言葉が、濁流のように溢れだしてきた。

「脱肛した腸は良いね。

臓物がこの世に姿を表した時、あれ程美しいものはないと思うんだ。

とくに生唾もんなのが、肛門が薔薇の花みたいに咲いたとき。

赤々とした血がいやらしく光って、ロマンがある。がばがばの腸内が見えてると、興奮しちまうね。

とくに、屈強な男の悶える姿は、殺して剥製にしたいほどグッとくるものがあるよ」

聞いてもいないのに、ベラベラと気の狂ったら談義をし始める。正直、白痴としか思えなかった。

この村でこの医師は、一番危険な男だとわかった瞬間だった。

やはりこの男がそうだったのか……。

奇跡的に当たった勘に、感謝したのも束の間だった。

「あぁ、思い出してきただけでも……

ンフフフフフフ」

興奮したようすで、舌舐めずりした。

……早くも、一人で来たのが大誤算な気がしてきた。

はやく犯人を捕まえたい。

その真剣な思いが、菊門を追い詰めていたのだが、歯車は徐々に狂っていった。

せめてベテランの蔵本を連れてくれば、

後の惨劇は防げたはずだった…。

この時の菊門は、まだ我が身に起こる、絶望の運命を知らなかったのだ。

「でも、あなたのように、お歳を召したご老人だと、なかなか新しいお相手を見つけるのも難しいでしょうけどねえ」

しまった、余計な一言だった……。と自らの迂闊さに冷や汗を流す。

老医師は、怠惰な三段腹を揺らしながら、

理性の糸が切れたらしく、地の底から笑った。

「あははははははははは!!!

お察しの通り、じつは相方が病んじゃって破局したさ。 

なんでも、精神病だとかでね、まあ奴も弱い男だったな。

たかだか嫁が死んだぐらいで、気が狂うとは怖いね。 

そんな訳で、この頃夜もご無沙汰ですよ。

それがどうも淋しくってね。

 豚 の膣でよく自慰してるよ。

肛門の次に、気持ちいいもんだねあれは」

……話を聞いているうちに、だんだんと吐き気と目眩を感じてきた。

菊門は、心底嫌そうな顔で、耳を塞ぎたいのを我慢していたのだが、医師の最後の言葉に、完全に血の気が引いた。

豚の膣、それだけでも猟奇的なキチガイとしか思えなかったが、あることと結び付き、

悲鳴をあげそうになった。

……口の中が嫌な味がする。

吐瀉物が喉まで込み上げるのを、我慢するのに必死だった。

あのホルマリンの中身は…………。

事件後。

この老医師は、村の貴重な医師と言うことで、我々駐在所の人間から、検死を任されていた。

遺体は数日後には火葬されるため、

検死を終えたあと、結果が出てしまえば、村の警察も死体に関わりを持つことはない。

 

少し内蔵が消えていようが、気づくことはないのだ。

部屋中に飾られた臓物の数々、これらはもしかして……。

死んだ奥方のものでは無かろうか。

豚の膣といったが、それはきっと。

死んだ、奥方の。

そこまで考えて、菊門は脂汗をかきながら、

深呼吸した。

これ以上は、思考を止めざる終えなかった。

心の崩壊を防ぐ、唯一の方法だった。

菊門は威勢よく、思いっきり睨みつけた。

しかし、推理はもう終わっていた。

今までの疲労が報われたかのように、菊門はまっすぐに医師の目を見た。

そして、王手を打った。

「溝橋医師、

あなたが村田清子殺しの、真犯人ですね」

危険な空気がしばし流れる。

医師はしばらく真顔だったが、意外にも軽く認めた。

 

「殺すことには殺したよ」

とうとう自白にまで追い詰めることができた!

これで終わったんだ…と菊門は緊張感を緩めてしまった。

だが、事件後の悲劇の序章は、ここから始まっていったのだ。

やがて医師は、衝撃的な事件の真相を、軽々しく語り始めた。

「わたしはいわゆる両刀使いでね。

肉体的には、男も女も、両方愛せるのだよ。

ところが、あの夫婦が二年前に越してきたとき、ワシはおもしろいことに気がついたのだ。

二人は、性生活がうまくいっていない、仮面夫婦だということにね。

旦那は、心では嫁を愛していた。

その代わり、どうも体は受けつなかったらし。

何故なら彼は、潜在的に純粋なゲイだったらだ。

見合い婚では、体の相性があわないことなんてのは、結構よくあることでね。

女盛りの嫁は、若い体をもて余していた。

そこでワシは良いことを思いついた。

嫁に、村の溜まった男達の性欲処理をしないかと、売春の話を持ちかけたのだ。

嫁は乗り気でね、手当たり次第にこの村の男を拾い食いしたね。

かくいうワシも、嫁と性交為したんだが、まあまあの穴だったな。

そこでワシは、旦那の方に手をつけることにしたんだ、そう、ワシ専用のオモチャにするためにね……」

医師は恍惚した表情で、他人事のように続けた。

若い巡査の直感は、だいたい当たっていた。

ただ今は、懺悔を吐くと言うより、過去の戦歴を語るような医師の自白に、怒りがわいていた。

目の前の老人を、ぶん殴りたい衝動をおさえるのに必死だった。

「ま、旦那の方に手を出したのは、つい最近のことだけどね。

なかなかお堅い男だったから、すぐにはヤらせてはくれなかったが、

旦那の抱えていた店の借金を、代わりに返済してやると言ったら、血相を変えてね。 

それから金と引き換えに、ヤらせてくれるようになった。

旦那は他の男とすでに情事を持っていたようだが、

ワシが金をやり始めると、その男は捨て、

晩になると、よく訪ねてきたよ。

そこでワシは金を払ってやる代わりに、

乱暴に思いきり強姦してやった。

SMというやつだ。SM。

みるみる内に、尻穴は真っ赤に充血して、血をだらだら流した。

旦那の泣いて痛がる姿に、大分興奮したよ。

かわいい奴だったな……ンフフフ」

乾いた唇を舌で何度も舐め回した。

その光景は、異様だった。

「……溝橋医師、

貴様が婦人を殺した動機はなんだ!答えてみろ!」

温厚な菊門にしては珍しく、苛々して怒鳴り声をあげた。

今にも殴り殺さんばかりに激しく睨むと。

医師は怖じ気付く素振りも見せなかった。 

「嫉妬だよ、嫉妬。

 

旦那はやはり、最後には妻を愛していたんだ。

気がつくと、ワシは旦那に惚れていたからね。

仮面夫婦の間にも、すこしは肉体関係があることを知ると、

何だかんだ言って、愛されていた嫁が憎くなった。

突然、嫁はワシを家へに呼んだんだ。

旦那相手に、借金を肩代わりしてやるのは止めてくれ、とはっきり言われたね。

「粗末なモノ、ぶら下げた爺相手に、 

栄吾が本気にしてたとでも……?

臭くて汚ない爺とヤるのだけは嫌だって、あの人こぼしてたわよ。」

……一言たりとも忘れられんね。

嫁は高笑いしながら台所に向かっていった。

そのあとをつけていき、ワシは思いっきり腰を蹴り飛ばした。

悲鳴を上げ倒れこんだ嫁の口に、持っていたハンカチを突っ込むと、

逃げられんよう足をへし折ってやった。

骨折の痛みに泡を吹いて失神したところで、ワシは首を絞めた。しばらくして、嫁は動かなくなった。

完全に死んだのを確認して、屍姦してやったよ。

死後直後だと、ゆるゆるでな。あんな名器には、二度と巡り会えんだろうな」

最後にいい終えると、愉快そうに腹から笑った。

まるで昨日の出来事のように、平然と語っていた。

やはりこの男、気が狂っている。

ここに飾られている、膣や、子宮も、

村田清子の臓物と考えて、間違いないだろう。

ーー村に越してきた、新婚の仮面夫婦

彼らは不幸にも、老医師の思うままに、性の商売へと堕とされていった。 

嫁は男衆相手に売春をやり、

旦那は借金の返済のため、両刀の医師に身を売った。

しばらくは旦那をおもちゃにしていた医師たったが、次第に愛情が芽生え始める。

だが、仮面夫婦の本当の愛に気が付いたことで、医師は嫉妬に狂う。

ある日、唐突に嫁に、医師は呼び出される。

嫁は、医師に旦那から身を引けと言うが、

余計な一言が命取りになった。

医師の怒りを買った嫁は、惨殺されてしまうわけである……。

医師の自白を、頭のなかでまとめてみたのだったが、新たなことが浮かんできたのだ。

……医者が犯人だと言うことに、

村人達は気がついていたのではないか?

三沢村には、医者がまったくいないという、酷く手薄な現状があった。

昼夜に自宅にいた嫁を殺せば、必ずや人目にもつくはずだ。

しかし、村人は、あえて医師の姿を黙認したと……。

村人も、殺された嫁をただの娼婦程度にしか思っておらず、逆に医者の身を案じていたのだ。

つまり、村人達も共犯な訳だ。

ということは、村全体で医者を庇った訳である。

一番最初の聞き込みでは、「怪しい行商人が通った」

などと老婆が証言したが、やはり捜査を撹乱するための作戦だったのではなかろうか。

さらに警察への、村長からの謎の圧力。

捜査に非協力的だったこと。

よそよそしい村人達の態度も、そう考えれば、すべて合致がいくものだった。

大胆にも、呆気なく自白した医師だったが、

まさかこの老人の裏に隠された、真の狂気には気付かなかった……。

変態医師は、菊門巡査の逞しい体を、

品定めするような目付きで、眺めていた。

夏服の制服から、引き締まったガタイの良い筋肉を想像し、密かに興奮の息を吐いていたのである。

……医師は、欲望のまま、ある行動に出た。



「良い、良いよ。名探偵ごっこは楽しかったかい?坊や」

老医師は、笑いながらソファから立ち上がった。

おもむろに、菊門の前へと立ちふさがる。

不審におもった菊門は、端に避けようとした。

だが、老医師は素早かった。

突如、菊門の横っ面を片手で思いっきり掴むと、顔をくっ付け、無理矢理接吻をした。

もう片方の手は、執拗に制服の股間を撫でまわしたのだった。

跳び跳ねるように驚いて、菊門が目を見開くと、

老医師は興奮したようにはぁはぁと熱い息を吐いた。

臭い口臭が顔にかかる。

「…がばがばになった穴、見てみたいか?」

 

老医師はボソリと言った。

言葉の意味がわからず、菊門はうろたえた。

目の前の狸親父は、かすかに笑っていた。

ふと、彼のズボンに視線を下ろすと、

なんと、硬く膨張しているではないか…。

菊門は二度驚いた。

まさか、この男…?

「いい加減にしろ、あんたはもう犯人なんだ。

大人しくしろ! 」

菊門は、恐怖をごまかすかのように、怒鳴った。

弱い犬が、よく吠え立てるのと、同じような理屈だろう。


はやくこの場から退散しようと、

立ち上がろうとしたのだが、

老医師は、ふいに勢いよく上に覆い被さってきたのだった。

「やめろっ!貴様、妙な真似をすると、こ、殺すぞ! 」

菊門は残った腕で、老医師の脂っこい体を、離そうと、腹を殴った。

「うおおおっっっ! 」

苦しそうなうめき声が聞こえた。

だが、医師は諦めなかった。

狂ったように舌で舌をむさぼった。

頬をへこませ、何度も唇をきつく吸われた。

菊門は弱々しく突き放そうとしたのだが、

ひさびさの獲物を逃がさん。

とばかりに、老人は死ぬ間際のクソ力を出してきたのだ。

揉み合いのうちに、二人はソファからずり落ちる。

床でくんずほずれになり、机の上においてあったコップが、床に落ちた。

床一面が水浸しになり、菊門の体を冷たく濡らした。

びしょ濡れになった制服姿に、医師の理性は限界を越えていた。

「菊門さん、あんた。可愛いね……」

正常位のまま、抵抗する菊門の太ももの付け根を掴むと、一気に足を持ち上げ、肩にかけさせた。

そして、自らの張り裂けそうな下腹部を、尻の辺りにぎゅー…っと押し付けて、菊門の反応を楽しんだ。

…制服のまま、菊門は老医師に犯されていた。

狂った険相で、菊門の怯えた顔を見下ろすと、支配感に燃えたぎった。

いまにも射精しそうな一物は、中でギンギンに、熱く、硬く膨張し、そそり立っていた。 

犬のようにピストンしながら、胴体は菊門をへし折れそうなほど抱き、

ハッハッと熱い息を吐き、舌で顔中をなめ回していた。

鍛え上げられた胸を、乱暴にもみしだく。

柔らかい感触が、両手を包んだ。

褌は勿論、尻穴の部分だけずらしてある。

今度は大きな尻を手で撫で回しながら、

バコンバコンと抜き差しをする。

中で淫乱にぐちゃぐちゃと掻き回すと、菊門の尻は、逃げるかのように、くねくねといやらしく動き回った。

それを、医師のデップリと肥えた尻が、下品にトドメを指す。

ねっとりとした激しい愛撫が、執拗に尻穴をねぶっては、突き狂った。

「はぁあ~~……いい案配じゃ、とろっとろのおマンコが、吸い付いてきよるわ」

気持ち良さそうに、巡査の尻マンコに、一物を沈める。 

ずぶりと奥に突き刺しては、抜き、また挿す。

激しいピストンを繰り返しては、寸止めし、菊門を昇天させないようにした。 

「あっあっああ~~!もう、頼むから、やめてくれえええ~~っ!! 」

菊門は泣きながら絶叫した。

医師の薄汚れたいん曩が、穴に出し入れを繰り返す度、ゆさゆさと揺れ動く。

誠しやかに、陰惨な光景が広がっていたといえるだろう。

「オッオッオッオウおうおう……ああああっっ!!」

半開きの口からは、老人らしかねぬ快感のよがり声が漏れていた。 

汚ならしいヨダレが、制服のYシャツをまだらに汚した。

菊門巡査の、大きな真っ白な尻に、

終演を迎えようと。

パンパンと激しく腰を打ちつけた。

医師の粗末なモノは、菊門の初穴を、乱暴に引き裂いていった。

医師は、若い菊門の体に発情し、

二人の穴と棒は、壊れんばかりに激しく繋がりあっていた。

血が飛び散り、肛門は、薔薇の華のように咲いた。

菊門は、片腕で顔を隠し、唇を噛みしめ号泣した。

抵抗する気さえ失い、すでに無抵抗になっていた。

「あっ……!そう絞めるな…」

ドプリュッッ。ドピュルル。女であれば、孕むほどに射精した。

…事を終えると、医師は彼の腸内に、生暖かいものを発射し、ぐったりと果てたのだった……。

しばらく医師は、菊門巡査の尻穴から、

モノをとろうとはしなかった。

すべてを出し終えるまで、余韻に浸っていたのである。

……やがて、糸を引いたモノをゆっくり引き抜くと、医師の白い遺伝子が、

ぱっくりと空いた穴からどろどろと流れ落ちた。

その穴に人差し指を突っ込み、ドロッとしたものをほじくりだす。

そして、手に付着した粘っこいものを、

嫌がる菊門巡査に、指ごと吸わせたのだった。

「よーく味わえ。これがご主人様のおいしいおチンポの味だ、わかったか雌犬! 」

よりにもよって、国家における、公僕の穴を弄ぶとは……。

公務執行妨害どころではない。

「あっはっはっはっはっは!!良い気味だ、まさかお巡りのマンコに中出しできるとは思わなかったぜ」

医師は馬鹿にしたようにあざけ笑った。

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった菊門は、顔を真っ赤に上気させて、医師の姿を睨んだ。



「ん?どうした?悔しいのかい?

尻穴から、血に混じってなにか白いものが出てるぞ。

卑しい奴だ」

そんな台詞を吐き捨てると、思いっきり腹に片足を落とした。

 

「ぐあおおおうええ……っ!? 」

痛みと苦しみに呻き声が漏れる。

ビシヤビシャ。と、水っぽい吐瀉物をあたりに吐き散らした。

全体重をかけ、腹の内蔵を押し潰すようにして、激しく動かす。

腹に百貫近い加圧をかけられれば、大の男でも失禁するほどのものであった。

若い巡査は胃液がとまらなかった。

吐瀉物で喉はつまり、真っ赤な顔で悶絶した。

さらに鼻を指で押さえられ、呼吸も許されなかった。

最悪の拷問に、巡査は絶望していた。

菊門はこの上なく胸糞悪く、

ただ吐きたくて仕方なかった。

「あははははは、これが税金で雇われたお巡りか?まさかこんなに弱いとは思わなかったよ。

拍子抜けだな」

機械音のような笑い声をあげると、

机の上の、何やら堅そうな、真っ黒の棒を手に取った。

虚ろな意識下で、菊門はそれがなんだか理解した。

ーー米軍の警察組織、MP が使用する、特殊警棒だった。

察するに、米軍の憲兵から、高い値段で買い取ったのだろう。

黒い革の棒には、目一杯に砂が詰め込まれており、破壊力は抜群。

こんな物で殴られれば、流石に人たまりもなかった。

倒れた巡査の上にまたがると、

何度も警棒で顔を殴る。 

激しい打撲音に意識がふらつく……。

だが菊門は、歯を食い縛り、無抵抗に堪えるしかなかった……。

怒りを露らにし、よろめきながら立ち上がろうとすると、激痛が走った。

全身も痛かったが、

尻穴が、焼けつくように傷む。

そのまま水平に倒れこんだ。

味わったことのないような痛みに、身体中が痙攣して震えた……。

「畜生……殺してやる」

菊門は無意識に呟いていた。

怒りが頂点までに達していたからだ。

医師は事も無げに鼻で笑って馬鹿にした。

「ほお、殺せるのかね?そりゃ楽しみだ。

その代わり、あんたも人殺しの罪を一生背負うことになるんだぜ。

仲間が増えるとは、ワシも本望だ」

薄ら笑いで、にやにやと菊門を見下ろすと、

ブラックジャックを床に投げ捨てた。

今度は菊門の腹辺りに腰かけると、

ゆっくりと首まで手を伸ばし、喉元を執拗に撫で回す。

……菊門は絶句した。

暗い洋間の中で、第二の殺人が行われようとしていたのだ。

真っ黒な眼球が、菊門を猟奇の目で見つめる。

耳元まで、裂けそうなほど口角をあげると、

人間離れした笑顔で、狂気に満ちた殺人奇は言った。

「生きてるお前に興味がなくなった」

最初に会った頃と同じような、真顔に戻っていた。

菊門の首を、化け物のような握力で掴む。

菊門は呻き声をあげ、首にかけられた腕を、外そうと必死に抵抗した。

だが、メリメリと食い込むばかりで、

絞殺の苦しみが襲う。

息が出来ないのが、こんなに苦しいとは思わなかった。

しばらく暴れていたのだが、並外れた超人的腕力のある老人の手は、なかなか外れそうにない。

………だんだんと、意識が混濁し始める……。

人形のように、動かなくなった菊門巡査を、

医師は変態らしく視姦し始めた。

その時、天の声とばかりに、玄関から怒声が上がった。

「警察だ!!中を開けろ」

壊さんばかりに、戸を力一杯叩く音がした。

聞き覚えのある声に、涙が出そうになる。

「……今頃嗅ぎ付けたのか」

医師は舌打ちすると、菊門の首の力を一気に緩めた。

さすがに、もう一人の警官が来たことに、動揺を隠せずにいた。

殺人欲求の意識が、玄関へと移り変わっていたのだ。

首から手が離れていった瞬間、 

菊門は渾身の力で、片頬を殴った。

今まで見たことないぐらいに、拳は頬にめり込んだ。

「ふげえええっっ!!」

潰れたカエルのような断末魔をあげ、

医師はその場に勢いよく倒れこんだ。

半裸の医師は、だらしなく失神した。

「うあああああああ」

白目を剥いてダウンしたところ、

菊門は怒り狂って、もう何発もお見舞いしてやった。

……。

眼を血走らせた巡査は、

大量の血と、吐瀉物の海の中に、立ち尽くしていた。

返り討ちに会った老人は、無惨なようすで倒れている。

鼻血や額、口内からの出血で、血まみれになり、別人のように青紫に腫れ上がった顔…。

さらに顔の骨が折れたらしく、鼻のある中央部は、べっこりと陥没していた。

顎も外れたようで、歯もボロボロと床に抜け落ちている。

ピクピクと痙攣を起こして、血と泡を吐きまみれて、今にも死にそうである。

その姿に、菊門は突然冷静になり、自分のしでかしたことの大きさに、顔が青ざめた。

菊門はそれ以上はなにもしなかった。

その場で呆然としていると、声がはっきりと聞こえた。

「おい!菊門!!中にいるのか?

頼む、返事してくれ」

外の蔵本が、しきりに大声を張り上げる。

ようやく我に返り、肩で息をしながら立ち上がると、

彼は玄関の方へ、よろよろと鍵を開けにいった。

……手は始終震えていた。

戸の鍵を、一心不乱に開ける。

目の前には、蔵元が心配したように立ち尽くしていた。

菊門の乱れた制服と、血まみれの顔を見て、ハッと驚いた。

……すぐに状況を察すると、菊門を抱き締めてやった。

二人は沈黙していたが、蔵元が悔しそうに謝り続けた。

「ごめんな………。

本当に、すまなかった……。

これは俺のミスだ……!俺が責任をとる。

だから、安心しろ!

もう、大丈夫だから」

父親のように、優しく菊門を抱いてやった。

菊門は、ようやく助かったのか……と安心した。

涙がこぼれ落ちそうなのを、我慢した。

……医師の生存を確認するため一度中へ入ったのだが、ひどく仰天した。

二人の激闘の跡に、蔵本は面食らっていた。

菊門は、蔵本のこんな顔を見たのは初めてだった。

……事件から二ヶ月後、八月も終わりに近づいた日の出来事だった。

これで犯人も捕まり、婦人殺人事件も、収束の時を迎えるかと思ったときだった。

だがしかし、

菊門巡査と犯人との死闘は、予想外の結末を迎えたのだった。



容疑者、溝橋医師の身柄が拘束された後。

事件の結果は、思わぬ事態へと発展していった……。

K県の 裁判所は、溝橋医師を、 

「無罪」

と判決したのである。

駐在所の警官達は激昂した。

逆立ちしたって、判定を信じられなかった。

どうやらあの医師は、

精神鑑定により、精神病質であった事が判明したらしいのだ。

さらに証拠不十分であり、

今回の婦人殺しの犯人だという、決定的裏付けにまでならない。

との結果まででた。

 

仮に、婦人殺しに関わったとしても、

心神に病をを抱えた上での犯行は、

責任無能力が問われない、と判定された。 

心神喪失者の行為は、

( 刑法第三十九条 )および、

「 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽

( 刑法第三十九条2 )

と、司法書にも載っている。

心神耗弱の状態で、

殺人などの重大な他害行為を行っても、

無罪が確定するという訳だ。

「 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に、

適切な処遇を決定するための手続き等を定め、

継続的かつ適切な医療や必要な観察及び指導を提供し、

原因となった病状の改善や同様の行為の再発防止を図る」 

というのが、県の刑事裁判所からの、結論であった。

また、今回一番の問題は、

村長から捜査が打ち止めされていたにも関わらず、

一人の警察官、K 巡査はそれを無視し、

捜査を引き続き行ったということが、

特に問題となっていた……。

さらに捜査で、容疑者と思われる医師の

家宅へと無理矢理侵入し、

精神病の医師の奇行に対し、

過剰な正当防衛として、

医師に重症を追わせたとして、 

厳罰必至である。とも責任を追求された。

警察官二人のみに、刑罰が下される。

菊門将司巡査は、懲戒免職。

その直属の上司、蔵本猛警部補は

指導不備で、

左官という形になった。

……医師は、無罪放免である。

彼は精神病の治療ということで、再び三沢村に出戻ることが決まっていた。

また野放しになった訳である。

菊門は、人生で初めて悔し泣きをした。

結局、被害者の奥方や、旦那の無念を晴らすどころか、

逆に自分が泥を被ることになった。

さらに上司にまで、事の始末は飛沫したのである。

その事が菊門にとっては、迷惑をかけてしまったとが申し訳なかった。

菊門は、現職を捨てることになった。

蔵本は自分の責任であった。と、最後まで菊門に詫びた。

だが、菊門は現実に対し、なんの感情も抱かなくなっていた。

すべてがどうでもよくなっていたのだ。

三沢村に対し、何の未練もなくなった、法廷後。

夏が終わり、山中の蝉が死に絶え、

静かな秋が訪れていた。

法廷から、幾ばくも経たぬうちに、

菊門は荷物をまとめると、早々に村を出ていった。

風のように、突然彼は村から消えていったのだ。



二年後。

菊門将司巡査は、

東京で小料理屋の店をやっていた。

二年前の秋。

警官をわずか一年で退職、

K 県を捨てた。

その後、路頭に迷っていたが、誰も知り合いのいない、隣県の東京に身を置くことにした。

三沢村での事件から、あっという間に

二年もの月日がたっていた。

今はもう、なるべく思い出さないようにしていた。

唯一、蔵本警部補が、大阪市に転勤したことだけは、覚えていた。

音信不通のまま、二年目の夏を迎えようとしていた。

……あの日、村を出てから、なんの別れも告げず列車に乗ったから、音沙汰が無いのも当たり前だった。

きっと、遠く離れていても、元気でやっているハズだ。

今もそう信じている。

最初は慣れなかったが、魚のさばきかたや、つまみの作り方も、大分板についてきた所である。

店で飲食する常連さんも増えて、経営も、

小さい店ながら、機動に乗り始めたところであった。

そして、復興に向けて、少しずつだが、東京も動き始めている。

激動の戦時下を生き抜いた人々が、この下町でも、精一杯息をしていた。

( 俺も、前へ進まねばなるまい。 )

菊門には、守るべき人ができていた。

おととい結婚したばかりの、歳の近い、若い女房だった。

菊門は東京に出てから、しばらく新聞屋に配達員として勤めていたのだが、

そこの給士の女と、たまたま意気投合した。

金もない、若いだけの貧乏な男だったが、嫁は黙ってついてきてくれた。

なかなか気丈で、優しくもあり、当時荒んでいた菊門にとっては、理想の女であった。

今では、嫁の存在に救われたことを感謝しているし、

心から愛せる女に出会えたことが、なにより嬉しかった。

……あの頃の屈折した恋も。

なんだか寂しいが、忘れることにした。

時おり思い出しては、胸が痛むが、

あれはきっと、若気の至りだったのだと、

いつか笑い飛ばせる日が来るのを待っている。

いつの時代も男は、古傷を隠して、新たな道を進むのだろう。

そう腹に決めてからは、怖いものなど無くなってしまった。

警官だったことは、一度だけ嫁には話したことがある。

ただそれだけで、それ以上はなにも言わなかった。

なぜだか、言葉が出なかったからだ。

なんとなく察して、嫁もあまり、経歴を探ろうとはしなかった。 

ある朝。

表通りに面した店先には、日光の暖かい光が差し込んでいた。

酒場として夜に繁盛するため、開店時間はかなり遅い。

たしかこの日も、開店時間ではなかったことは記憶している。

菊門がカウンターに座って、茶を飲みながら、何をするでもなくボーっとしていると、嫁が扉を開けて、中に入ってきた。

「あなた、新聞届いてますよ」

郵便受けから、葉書も一緒に取り出してくると、嫁はにこやかに渡してくれた。

それを子供のように、無邪気に受けとる。

「ありがとう、どれどれ……今日のニュースは」

唯一の娯楽とも言えるほど、菊門は新聞が好きだった。

ところが。

朝刊を何気無く手に取り、めくった瞬間。

ある文字が目に入り、

ギョッと驚いた…………。

「K 県北部で、精神病者が放火殺人」

新聞のど真ん中に、大きな見出しで、

活版印刷されていた。

……心臓が止まりそうだった。 

蝉の鳴き叫ぶ、蒸し暑いあの夏が

帰ってきたようだった。

たまらなくなって続きを読むと、そこにはこう記述されていた。

「昭和24年、6月15日。

K 県北部にある、山中の三沢村で、

溝橋矢助医師(67)の自宅が、何者かに放火された模様。

主人の医師が、焼け跡から焼死体として発見された。

同日から、近隣の村田清次(52)の家に同居していた、

甥の村田栄吾(26)の行方が分からなくなっており、現在も行方不明。

村田は精神病を患っており、数年前には、死体となって発見された医師と、借金について押し問答があったという。

事件前日に、村田には不審な動きがあったのを、家族が目撃している。

金銭トラブルの末、精神不安定に陥り。

被害者の医師の家宅に放火したのではないか、と推測されている。

警察が村を捜索したところ、村田と思われる下駄が、山中付近に落ちていた。

他の物品や、証拠と思われるものは見つからず、

叔父の家には、遺書とおぼしきものすら、見つかっていない。

村田自身は、山を下り、逃亡したか。

あるいは山中にいまだ潜伏か。

専門家は、山で自殺した可能性が高いと見て、死体がないか、なおも捜査を続けるべきだ。と語った。

村田と被害者には、何らかのトラブルがあったとみて、現在も捜索は続けられている」

かなり大きな見出しでのっていた。

隣には、くだらないゴシップが延々と紙面を飾っていた。

村田栄吾、まさかあの旦那が……。

菊門の何やら深刻な様子を見て、嫁が心配したように、覗きこんだ。

「真剣に読みいってらっしゃるみたいだけど、

一体何がのってるんです? 」

嫁がいたことも忘れていたせいか、

驚いてハッと振り返った。

「……何でもないよ」

不自然な笑顔を作ると、

曖昧に答え、新聞を持って、二階の自室へと上った。

……窓を開けっぱなしの、六畳間の壁に、

煙草をくわえながらもたれかかる。

締め切った網戸には、小さな羽虫が目にとまるほど止まっていた。

虚ろな目で、新聞を眺め続ける。

……村田栄吾。

いや、旦那さん。

あなたは最後まで、可哀想な男だった……。

…………。

心の中で呟くと、

最後に会った日のことを、昨日のことのように思い出していた……。

取り憑かれたように、廃人になった姿が、

目の奥に焼き付いて忘れられない。

あのときの俺は、なんて無力だったのだろう。

旦那だけでも、救えたはずだったのに……。

必死の捜査も虚しく、

事件は未解決に終わった。

 

何気無く、壁にかけてあったカレンダーが目に入る。

6月16日。

何の変鉄もない、ただの平日のはずだった。

 

……思考が一瞬止まる。

今日の日付に、菊門は息が止まりそうになった。

そうだ。

今日は、村田清子が死んだ命日なんだ。

もしかして、旦那は……。

嫁が殺されたことを皮切りに、

不幸の連鎖が旦那の栄吾を襲う。

彼は狂い、ついに精神崩壊してしまったのだ。

そして二年後、嫁殺しの真犯人がわかったのか、

仇討ちとばかりに、昨日の15日に溝橋医師の家を放火して、殺害している。

いまだ行方不明のままなのだが……。

依然として信じられなかった。

いま彼は、一体どこにいるのだろうか。

六月の梅雨の山中に、ひっそりと隠れているのか、

それか、もうこの世には……。

菊門には何故だか、

いつかまた目の前に、旦那が現れるような気がしていた。 

あの旦那が、生きていると信じたかったからだ。

梅雨のじめじめした季節から、

今年も熱気のこもった暑い初夏がやってくる。

網戸を明け、格子のついた窓から外を見下ろす。

下町の朝は、もう動き出していた。 

菊門はふいに風を感じた。

あの夏と同じ、蒸し暑い、山上の風が、

頬を撫でていった気がした。









創作ホモ小説


f:id:gay8989:20170714212501j:plain


うんこくれおじさん

 これは数十年前に俺が体験した怖い話です。

当時、体育会系サークルに入っていた俺は、ホモが惚れる超ガチムチ体型でした。

ラグビー部とかマジでホモがいて、
いつも着替えの時「見られてるなー」ってわかりましたw

ただ、別に俺はホモって訳でもないし、普通に女と付き合ってました。

だから先輩とかに告白された時は、正直ビックリしましたねw


 そんな俺を突然襲った恐怖体験は、サークルの飲み会で帰るのが夜遅くなったときです。

1時くらいになっていましたが、男だから別に危なくないし、一人で帰ることにしました。

家も近所なので、歩いて30分もかかりません。

そのまま真っ暗な道を歩いていたら、いきなり後ろから誰かに声をかけられました。

振り返ると、かなりゴツイ感じの知らないオッサンが立ってました。

「なあ兄ちゃん。うんこくれへん? 」
唐突にそう言われ、俺は一瞬で「やばい奴だ! 」とわかりました。

うんこをくれだなんて、普通の人だったら絶対言いません。

「はああ!?何言ってんのアンタ!さっさと家帰れよwwww」

俺はそう言い、すぐに走って逃げようとしました。

しかし、オッサンにすごい早さで捕まってしまいました。

俺が抵抗しても、オッサンは離す気がありません。

そのまま近所にあったオッサンの家まで連れ込まれてしまいました。

 汚い感じのアパートで、中に押し込まれると、ゴミの臭いなんかがして臭かったです。

「おじさん頭大丈夫ですか?うんこくれとか狂ってますよ」

俺の言葉に、オッサンはまったく動じず、むしろ堂々としていました。

「さっきは乱暴してごめんなー。おじさん、君みたいな若い子が大好きなんやわ」

うんこくれオッサンは笑いながらそう言い、「とにかくそこらへんに座りなさい」と言いました。

俺も少なからずうんこに興味があったので、とりあえずコイツに付き合ってやるかな。と思いました。

 しばらくすると、おじさんが酒とかつまみとかを持ってきました。

俺も酔ってたんで、めっちゃノリが良かったです。二人で和気あいあいしながら飲みましたw

どうやらおじさんはホモらしく、ガッチリした雄野郎が大好きなんだそうです。

そして、いつもウンコをもらって、それを食べたりオナニーしたりしているらしいです。

俺はおじさんの話しを聞いていて、だんだん具合が悪くなりました。

そんな俺の様子を見て、おじさんは満足そうに微笑みました。

「っちゅう訳で、君のごっつ美味そうなうんこ。おじさんにくれへんかな?」

にこにこしながら変態みたいなことを言われ、当然拒否する常識人の俺!

「えーw無理っスよ!うんことかありえないしーwww」

「そこを何とか!お金払っちゃるから、どうにか頼んます~!!」

おじさんはへこへこ土下座しました。

(ウンコが金になるんならまあいいかー)と、俺も思ってしまい、つい許してしまいました。

「じゃあいいっすよ」

「ええっ!?ホンマにええのん? 」

 俺の答えが相当嬉しかったのか、おじさんは、感動のあまり泣き始めてしまいました。

そして、奥の部屋に走っていくと、5万を持って戻ってきました。

「生うんこ見せてもらうだけでええんや。お尻は掘ったりせんから、安心しい^^」

「えっこんなにお金貰っていいんですか!?じゃあやります 」

ちょっとした大金に眼が眩み、俺は快く引き受けてしまいました。

おじさんは畳に新聞紙をひき、ここにしたってー♪と言いました。

俺は躊躇なくズボンを脱ぎ、下半身丸出しになりました。

そして、おじさんの目の前でうんこをする態勢になりました。

玉も穴も丸見えで、とっても恥ずかしかったです。

ですが、おじさんは興奮している様子で、ハァハァという荒い息が聞こえてきました。

「可愛いお尻やねー。
綺麗なアナルで、おじさんもう勃起してしもうたわw」

後ろを見ると、勃起したチンポを掴んで、上下に激しく動かしているおじさんの姿がありました。

おじさんのチンポはガチガチに硬くそりたっていて、今にも発射しそうです。

「この人、俺の尻穴を見て興奮してるんだ・・・」と思うと、すごくエロイ気分になりました。

 「ほな、早速うんこちゃんを拝ませてもらいまひょかー」

おじさんは用意してあったイチジク浣腸を取り出し、俺のケツにいれました。

すると、途端に腹がグルグルと鳴り出し、今までにないほどの激痛に襲われました。

痛えええええ!!!と、俺は叫ぶしかなく、ほんとに涙が出そうになりました。

おじさんは、「痛い思いさせてごめんなー」と言いながら、俺の腹をずっとさすっていました。

俺の腹からは熱いものがこみ上げてくるって感じで、もう限界だなーと思った瞬間です。

「ブリュリュリュボボボバアアアブバアアアボボボッッッッ!!!!!!!!」

あああー出ちゃった・・・。

だけど、俺は底知れぬ爽快感みたいなものを感じました。

もっと驚きだったのは、うんこを目にした瞬間。おじさんの目の色が変わったことです。

突然、俺のウンコに野球のヘッドスライディングみたいに飛びついてきたのです。

そして、俺のうんこに、狂ったように頬ずりをし始めたのです。

「あ”ああ”ああ”あぁあぁぁあ”ああぁあああぁぁぁっっっっvvvv
こ、この臭いやわあーーーーーーッッッッッ☆○△?!!!?!???!!
ウンコちゃーん!待っとったでーー♪♪これからおじさんが食べてあげるさかい。
もう逃がさへんでーーーー^^えへへへへへへwww」

長い呪文を唱えるかのように、そんなセリフを言っていました。

そこで俺もようやくドン引き。このオッサンやべえ!と内心思いました。

おじさんはウンコまみれになりながら、本格的な気合入ったオナニーをし始めました。

ヨダレをたらしながら、イっちゃった眼でせんずりこく彼を見て、俺はようやく現実に戻れたんです。

「この人は、俺のことじゃなくて、「俺のうんこ」が性的対象なのか・・・」ってww

そう思うと、何故かガッカリ(?)して、オナニーしてるうんこくれオッサンのことがどうでもよくなってしまいました。

そして、ウンコを舐めながらオナニーしているおじさんを置いて、勝手に部屋から出ていってしまいました。

さすがに追いかけてくるかなー?と思ったけど、おじさんはうんこオナニーに集中しているみたいでした。

 それ以来、おじさんと連絡をとったことはないし、
俺も会社が忙しい、ただのサラリーマンになってしまいましたw

ですが、たまにあのうんこくれおじさんのことが気になることがあります。

あの頃はまだ50代くらいだったけど、今はもう、うんこくれおじいちゃんでしょうかね。

それで今日もまた、俺みたいな男のうんこで、楽しくせんずりこいてるのかな・・・。

END